IIIKのモデラー三昧なフロク

  これまでに完成させた作品です。
  このページは、オリジナルビデオアニメ「YAMATO2520」の模型を紹介しています。







         テーマ: ヤマト2520
         日時: 2016年2月29日

蘇る地球最後の艨艟
YAMATO 2520 - Desighed by Syd Mead -
バンダイ1/1500 YAMATO 2520




  


            - THe Space Battle Ship of The Young -






■ モノポール機関を得て第18代YAMATO、ここに出航

『宇宙戦艦ヤマト』がその身を犠牲にして、アクエリアスの海に沈んで実に久しいです。
それから、幾星霜の刻が流れたのでしょう。この間、我々はあまりにも歳をとり過ぎてしまい
ました。私達はもう若くはありません。

しかし、ヤマトは幾度となく蘇り、また我々の前にその勇壮な舷影を垣間見せてくれるしょ
う。それは「夢幻」などではありません。ヤマトは常に若者達の青春と希望をのせた不滅の艦
だからです。


・・・初代宇宙戦艦ヤマトとともに、古代 進達が活躍した時代よりさらに数世紀。25世紀から
26世紀にかけて、銀河100年戦争が勃発しました。ガミラス帝国、白色彗星帝国、暗黒星団帝
国、ボラー連邦・・・ 今度の地球連邦軍の敵は、もう外宇宙の星人ではありません。約300
年前に地球から旅立っていった同じ人類、いわば同胞なのです。


星暦でいう23世紀。時の若き天才科学者ブローネは優性覇権主義を提唱・推進しようとしまし
たが、地球連邦政府からは認められませんでした。ブローネは自らのプリンシプル(主義)に賛
同するグループで宇宙大移民団を結成。彼らとともに新天地を求めて、六分儀座C銀河へと旅
立っていきました。


その六分儀座C銀河で、ブローネは偶然、新エネルギー「モノポール」を発見します。
モノポールとは、約150億年前の宇宙開闢のビッグバンの際、その作用でできたであろうとさ
れる貴重な物質です。この特殊な素粒子自体はエネルギーと呼べるものではなく、別のエネル
ギーを与えるとそれを倍加して取り出せるという、奇跡的な特性を持つ存在です。


天才科学者ブローネはこのモノポールの制御に成功したことで、六分儀座C銀河に独自の文明
国家を築き、次第に繁栄していきます。2345年、ブローネはセイレーン連邦を名乗り、軍備を
も拡張。自らは独裁者として皇帝の座につきました。

以降、セイレーン国家は勢力を拡大するとともに宇宙覇権の野望を表明し、かつて自分達を追
いやった地球連邦と対立していきます。


一方、地球連邦における主エネルギー源は依然として波動エネルギー機関であり、より優れた
モノポール技術を獲得することが急務となっていました。セイレーンに対抗するためにも。そ
んな折、地球連邦は銀河ハロー周辺部のM27星系に位置するM9恒星系第3惑星リンボス宙域
で、モノポール素粒子の密集地帯を発見。


しかし、この惑星宙域には、セイレーン軍もすでに侵入しており、2405年の紛争を契機に、両
者は2415年ついに全面宇宙戦争へと突入してしまいます。


この大規模戦争は実に88年後の2503年まで続き、後に銀河100年戦争と呼ばれることになりま
す。泥沼のような当戦争末期には両陣営とも疲弊の極みに達し、膠着状態に。やんごとなく休
戦協定が締結されることとなりました。当戦争の原因地点となった惑星リンボスについては、
セイレーン軍は地球連邦の敵対行為を監視するための駐屯基地を設置しました。






  


艦首波動砲は、数パターンの砲撃が可能。従来からの収束波動砲・拡散
波動砲に加えて、モノポール機関から取り出した全エネルギーをぶちまけ
る超波動砲。この他さらに強力な謎のツイン・ノヴァというモードもある。









  


みっつの甲板で構成される艦首部位は、ヘラクレスカブトムシのような特徴的な
意匠。初代ヤマトにあったフェアリーダー機能のような装飾部分はなくなった。
喫水下艦首である(バルバス)バウも、もはや球状ではなく上部艦首と同じ形に。







■ 惑星リンボスより愛をこめて

・・・そして、休戦状態に入ってから15年の歳月が流れます。『YAMATO 2520』の物語はこ
こから始まります。100年戦争の最前線であった惑星リンボスで。

セイレーン駐屯軍監視下の中、リンボスの開拓地で暮らす主人公のナブ・エイシャントは、沈
没した地球連邦戦艦の中枢内部から偶然、その戦艦の建造設計図データの入ったブラックボッ
クスを発見します。


ナブは仲間達とともに、忘れ去られたセイレーン軍の造船ドック自動プラント旧跡地へ向か
い、その設計データを使って、かつての地球連邦の超弩級戦艦を密かに建造します。全長、実
に400m。それはかつての地球連邦旗艦 第17代目のYAMATOでした。YAMATOの名称とは、
代々地球最強の戦艦に与えられるものです。


地球連邦の戦艦でありながら、セイレーン軍の技術による造船自動プラントを利用したため、
両テクノロジーが融合。ナブ達が建造した新たな第18代目YAMATOは、波動エンジンだけでな
くモノポール機関ジェネレーターを主動力とする銀河最強の艨艟(もうどう)として生まれ変わ
ったのです。

今ここに、新たなる若者達の旅が始まろうとしていた・・・








  


両舷後方のブラインドパネルのようなディテールの位置内部に、巨大
なモノポールジェネレーター、ならびにワープドライブが収まっている。









         


艦底後方のふたつのサブエンジンノズルは、従来の波動エンジン2基と直結。







■ 1995年、ヤマトは本当に蘇ったのか!?

今回のお題は、1995年よりリリースされた幻の名作OVA『YAMATO 2520』です。
うちのようなアニメメカキャラ系模型サイトをご覧の方でも、ご存知の方とそうでない方がおられると思
います。正直わたしも、今回の製作機会があるまで本OVAは未見でした。

熱心なヤマトファンの方からのご依頼でキットをご製作さていただき、その資料としてOVAや関連資料本
を拝見させていただきました。大変ありがとうございます。


往年の『宇宙戦艦ヤマト』の制作者関係であまりに著名なのが、西崎義展プロデューサーですね。ここ10
年間の実写?版映画や新作アニメを別にするとこれまでのすべてのヤマト作品をプロデュースされておられ
ます。番組・映画のプロデュースだけでなく、実質的な原案・企画者でヤマトの生みの親です。松本零士
先生はキャラクターとメカニックのオールデザインとコミカライズという棲み分けでしょうか。


我々がよく知る「宇宙戦艦ヤマト」は、1980年代半ばに作品としてのひとつのピリオドを打ちました。そ
れから10年間もの沈黙を破り、ついに西崎プロデューサーが長年構想を練っていた完全新作ストーリーが
結実したのが、『YAMATO 2520』であるといえます。

メインメカデザイン(フューチャー・コンセプト・デザイン)にはあの巨匠シド・ミード氏を迎え、音楽監
督はお馴染み羽田健太郎氏。オリジナルテーマ曲・BGMの作曲編曲・演奏は、かのデビッド・マシューズ
氏率いるNYオーケストラにて行うという、前作と変わりない意欲ぶり。

そして欠かせないイメージソングは、なんと当時デビュー2年目くらいのアイドルグループTOKIO。

キャラクターデザインは、これまでのヤマトの松本キャラから一転し、窪岡俊之さんが担当。何やら横山
光輝キャラを彷彿とさせます。メカニックデザインには、超絶モデラーとしても誉れ高い小林 誠さん、橋
本敬之さんなどが参画。

声優陣については、主人公のナブ役のCVには、なんと少年隊の錦織一清さん、他にもかつての伊武雅刀さ
ん、麻上洋子さんも主要キャラクターを演じるという、ちょっと普通のOVA作品では真似できないような
豪華な面々が参加されていました。






   


初代の宇宙戦艦ヤマトのイメージを踏襲しつつ、斬新な近未来タッチで新
規デザインされた流麗なフォルム。和洋折衷なる宇宙戦艦デザインの傑作。






■OVAとしてのYAMATO 2520 その光と影

OVAは全7巻(1巻あたり60分)の予定で、リリースが開始。
1巻は星暦26世紀の惑星リンボスを中心とする世界観や登場人物達のイントロデュースがメイン。2巻では
新YAMATOの建造の演出がなんといっても目玉。セイレーン自動製造ドックでYAMATOが建造されていく
シーンはかなりの見物です。3巻は見どころ満載の戦闘シーン。そして、主人公達を乗せた第18代
YAMATOは、宇宙の神秘を記したとされるゴーダ文明の遺跡を求めて、別の銀河系へとモノポール超ワー
プ。いよいよ物語は核心へと・・・


・・・というところで、まさかのOVAリリースストップ。『YAMATO 2520』は残念ながら制作会社の倒
産で、OVA第3巻までの未完の迷作となってしまいました。

ここまで相当な熱意で制作されてきながら、どうしてこのような顛末になってしまったのか。また、西崎
プロデューサーのその後の壮絶な動向などについては栓ないことなのでここでは書かないことにします。


ただ、当時は面白い強豪アニメ作品が連発していた1990年代半ばにあって、印象が薄かったり知名度が低
かったりしますが、作品そのものはハイクォリティだし、シノプシスストーリー展開も綿密に練られてお
り、構成もしっかりしています。もちろん、旧来の『宇宙戦艦ヤマト』を体験していない若い世代の人で
も、独自の作品として視聴が充分楽しめる内容です。


打ちきりは本当に惜しまれる限りです。本当にいいところで終ってしまっているので気になってしょうが
ない。ですが、一等辛酸をなめるような思いをされたのは制作側なのでしょうね。






   


艦首メイン甲板には、艦首ミサイル(亜光速誘導式ミサイル、おとり用ディコイミ
サイル、対空ミサイルなど)と、新兵器ワープミサイル(大規模戦略兵器)を装備。






■舶来巨匠デザイナーの登用

さて、本作『YAMATO 2520』で、アニメメカファンの人などが注視刮目してしまうのが、なんといって
もやはりシド・ミード氏のデザインワークスのひとつひとつに尽きるでしょう。本作最大のウリの部分な
のだと思います。ブレードランナー、トロン、エイリアン2・・・「線の悦楽」を表現できる工業デザイナ
ーにして世界的巨匠。


「日本人とは仕事をしたくありません。彼らはいつもおまかせしますで、番組作品に対するポリシーがま
ったく見えないからです。」

これがひと昔前の日本の番組・映画・アニメ関係者に対する、当時のシド・ミード氏の考えだったそうで
す。このコメントに対して西崎プロデューサーは、カリフォルニア在住の彼に、ごまんというヤマトの資
料を送付し、自らもかの地へ訪れシド氏を熱く説き伏せて、新YAMATOのフューチャー・コンセプト・デ
ザインの仕事を依頼したといわれています。


それがOVAの第1巻が発行される約5年前の話で、内諾を得たシド・ミード氏から、まさに西崎氏の希望に
ぴったりの新YAMATOのデザイン画稿が提示されてくるまで、1年半かかったという話です。

作品「センチネル」で氏の仕事が世界的に評価される以前から、西崎氏はシド・ミード氏に強い関心をも
っており、そのデザインコンセプトの徹底した統一性、明確なビジョンを持つ近未来感覚の先進性、洗練
されスバ抜けた色彩感覚など、新ヤマトのコンセプトデザインはシド・ミード氏以外は絶対に考えられな
かった、と当時の書籍にて語られています。


一方、YAMATOのベーシックデザインが確定し、乗りに乗ったシド・ミード氏の仕事の方も、すごい勢い
で次々とデザイン画稿がアップされたそうです。その仕事量は、YAMATO 2520関係だけで一冊のぶ厚い
画集ができるほどだったそうです。


YAMATO 2520のデザインはシド氏本人も相当に気に入っているのか、自身のコンピュターのキャドに落
とし込んで3D動画を制作。さらに当方もない時間と労力を費やして、艦全体各部位における内部の透視・
構成図まで精密に描ききるほどの情熱ぶりだったようです。ここまでやるデザイナーは日本の方では、な
かなかいないと思います。さすが、世界の巨匠。


本作の敵方となるセイレーン帝国の環境やメカもシド氏が手掛けており、7角形をモチーフとした素晴らし
いデザインの数々を挙げており、その突出した才能の豊かさに驚かされるばかりです。

我が国のアニメ業界ではシド・ミード氏のデザインワークスといえば、ターンAガンダムの方が有名にな
ってしまった感がありますが、そのずっと前に先見の識を見出していたのは西崎プロデューサーその人で
あったのです。







   


宇宙船全般、このアングルの画は結構好きです。





■YAMATO 2520 コンクルージョン

「戦艦大和」は「宇宙戦艦ヤマト」を生み、「宇宙戦艦ヤマト」は「YAMATO 2520」へ転生を遂げる。
(ここ10年のヤマトブームの作品群によって2520は黒歴史にされてしまった感も払拭できませんが。)

思うに「やまと」とは、日本人の心の中にある艦の象徴のような存在ではないでしょうか。このことはア
メリカ人でいえば、いささか古い喩えではビッグE(エンタープライズ)ということになるでしょうか。)


日本人の心の艦を、どうしてアメリカ人にデザインさせるんだ。それは破廉恥な行為ではないの
か。 ・・・しかし、戦争はとっくに終わったのです。日本人もアメリカ人もありません。シド・ミード氏
はもしかしたら、今の日本人以上に「和の意匠」に強い関心と深い理解をもった人物なのです。カリフォ
ルニアのシド氏のアトリエには約1mの戦艦大和の模型が鎮座していました。


鹿児島沖の海底に深く沈む戦艦大和の真実とは、過去に放送された海底調査のドキュメント番組などによ
りますと、第二主砲のあたりで艦体が真っ二つに折れ分かれ、後半分は裏返って海底に眠っているのだそ
うです。すなわち、宇宙戦艦ヤマトの冒頭にあったような、そのままの姿で朽ちているわけではありませ
ん。


しかし、我々日本人の心には、つねに戦艦大和とは、あの勇壮なそのままの姿で海底に静かに眠り続けて
いると考えることが、もはや常識にまでなっています。「宇宙戦艦ヤマト」という作品が、それほどに強
烈なインパクトを我々の精神の根底に刻みこんでしまったからでしょうか。

もうひとつの理由は、アニメのヤマト作品一連のテーマである「明日への希望」を内包しているイメージ
が、海に沈んだ戦艦大和をそう思わせているのかもしれません。


渾身全霊の新作であった「YAMATO 2520」は、平和と希望を望む新しい世代の人々に向けて、また自由
な発想で旅立つためにある艦なのでしょう。







   


外部に露出する砲身をもたない主砲は全部で12門。電磁ベアリングによって
支持された砲塔は任意に回転また仰角を変更できる。また、砲塔内部のプリ
ズムをアレンジすることでプラズマビーム自体を歪曲して砲撃することも可能。








    


キメのアングルのはずですが、何という撮影しにくいデザイン。面がいろんな方
向を見ているデザインなので、このアングルがベストというのが見つかりません。








    





      

■ キットの詳細について

このオリジナルビデオ作品のリリースはバイダイビジュアルからの製品なので、製作キットも
当然バンダイ製1/1500スケール「YAMATO 2520」のプラモデルとなります。2520は劇中の
星暦を示すもので、本来の名称は単に「YAMATO」(第18代目)となります。


全長400メートル級の超巨大戦艦なので、1/1500という気の遠くなるような縮小率ですが、プ
ラモデルとしての組み立て完成品のサイズは、ウォーターラインシリーズなど艦船模型のスタ
ンダードである1/700スケールの巡洋艦クラスと同じ大きさくらいです。(でもちょっと小さい
かな。)


いよいよ艦船模型製作の気分を味わいながら扱えるという、実に嬉しくなるようなキットで
す。・・・というのは無茶な話で、所謂バンダイ製キットなので、スケールモデルのような精
密さは微塵もなく、同社お馴染みのキャラクターモデル的な造形処理、ディテール、パーツ構
成・分割の代物です。何というか、あまり根をつめて製作したくなくなる内容と書きますか。
(汗)

しかし、後にも先にも、YAMATO 2520をキット化したプラモデルは、この製品だけ。なんだ
か可哀そうになってもきます。ファンは立体化されただけ、バンダイさんに感謝しなければ。


本キットは、スジボリは太く、パーツ合わせ目の段差は激しく、ディテールは省略形・・・と
いうわかりやすい内容です。(悲) 模型としての精密性より、子供から大人まで優しい玩具を提
供する会社理念をもつバンダイさんによって、作りやすさや壊れにくさを考慮して設計された
キャラクターキットの宿命を余儀なくされた内容なのです。


今回の製作では、こうした模型外観要素における、マイナス的要素を払拭しつつ、小スケール
のモデルながらディテール性と精密感を加味した、視覚的訴求の高いシャープな完成品を目指
して、このキットを改修していくことになります。


それにしても、つぶさに見ていくまでもなく、このキットだけだと巨匠シド・ミード氏が手が
けたデザインの宇宙戦艦には到底見えませぬ。円や楕円を近未来感覚で巧みにデザインに採り
入れるシド氏のセンスや味というものが、形状・ディテール・モールドともにほとんど消失し
ており、なんだか昔の宇宙戦艦ヤマトのキットテイストを彷彿とさせる印象ですね。


このプラモデルにおける一番の問題は、艦首が1ブロックほど短いという点かもしれません。し
かし、今回この部分はいじらない方がよさそうです。シド・ミードラインとしてのモールドの
彫り直しと新規ライン追加、各部位のディテールアップや、パーツエッジダル形状の整形など
を柱に作業していきます。工作内容など詳しくは、このページ下の製作レポートにて。


塗装の方は、ご覧の通り、メタリック仕上げです。本格的に製作する対象としては、いささか
小さ目のモデルなのですが、パネル単位で明暗のグラデーションを穏やかにつけてあります。

艦体基本カラーは、ギンギラの高輝性ファインシルバーに、青と黒を結構加えて調色したもの
です。いずれにせよ、撮影と照明によるデジカメの自動補正などの影響で、画像ではあまり実
物のいい色が表現されていませんが。模型本体がヒカリモノなので、ここらへんはいたしかた
ありません。

作品劇中のようにセイレーン自動製造ドックでオート建造してくれたらいいのに。なーんて。







        


円盤状の上から2番目がシマ艦長室。後方に艦長専用ラン チを搭載。
出入口もある。窓がある艦橋は、上が指揮艦橋(エグゼクティブ・
ブリッジ)、下が戦闘艦橋(バトル・ブリッジ)。










        


おなじみのベーシカリーな対空兵器、可視光線を断続的に発射するパルスレーザー群。










        


艦橋後部のハイディテール。(改造しています。)










        


左舷中央部のアップ。










        


左右両舷の窓に施したシースルーのメカニック部。











        


艦底の艦載機発進構造物側面の凹帯部に工作したメカニック部分。










        


メインエンジンノズル内壁。映像を見ると噴射の色はほとんど白。
味気ないので作例では、奥から白、黄色、オレンジのグラデーシ
ョンをかけています。見えているのは、ほとんどオレンジですが。










        


飾り台はキット付属のものはガンメタリックで塗装。これとは別に艦船模型風(笑)に
真鍮2本支柱式でこのような台も作ってみました。YAMATO 2520のロゴはカラーと
白黒の選択ができます。カラーだとちょっと目立ち過ぎるので撮影は白黒の方で。















    ー ここからキットの製作レポートです ー






       遥かなる旅立ち
          バンダイ 1/1500 YAMATO2520 製作レポート




   








        


当該キットの改修箇所などについて画像付きで説明していきます。
もしこれからこのキットを作られる方がいらしたら、その一助となれば幸いです。
まずは、特徴的な艦首から。YAMATOの艦首は甲板が三叉に分かれ、ヘラクレスカブトムシの
ような印象深い形状を成しています。

キットでは、その複雑な形状から、艦首周辺のパーツ分割の合わせ目(隙間・段差)が非常に目
立つ結果となっています。ここらへんは見苦しいので、パテやヤスリがけなどで、きれいに整
面、形状を整えてエッジをシャープにします。画像の左がキットの状態。右が改修後のもので
す。

画像ではわかりませんが、甲板上のモールドはすべて彫り直し、新規追加を行なっています。
艦首先端は、キットでは安全対策からか丸くなっていたので、尖がらせています。

中央甲板にある三角形のマストフィンは、プラ板で薄く作り直して、設定に準じたスジボリを
追加しています。取り付け位置も、キットよりすこし前にしてあります。









        


艦首を側方から見た画像です。左が改修後、右がキットの状態になります。
喫水線から下の底艦首(球形艦首、バルバスバウ)部分の上辺ラインについて、キットでは穏や
かに外側へと膨らんだアールを描いていますが、シド・ミード氏がデザインしたラインでは逆
に凹んで反ったような形状が正解なので、それに準じた形状修正のライン変更をしています。


しかし、本当に正解のラインはまた別で、上部艦首と底艦首までのつながっているラインの一
連の曲線が、真半円になるようです。これの再現までは、今回のキットではしない方がいいで
しょう。

キットの赤い底艦首パーツをそのまま削り込むと、空洞の穴が開いてしまうので、あらかじめ
内側からプラ板で裏打ちをしておきます。









        


しつこく艦首部位の画像を、正面斜め方向からもう一葉。大事なアイポイントですので。
中央にあるでっぱりが波動砲のカバーです。発射時はこのカバーが左右に割れて後方内部へ収
納。内部中央の砲口が露出する設定みです。

キットでは、このカバーのパーツに縦の分割線がモールドされていなかったので、縦線をスジ
ボリで追加しました。またカバー自体の形状も、やや細身に整形しています。


一番の問題は、このカバーパーツと、本体艦首部分との接合において、段差と隙間が激しいこ
とです。かなりひどいです。(波動砲の開・閉状態を、本キットではパーツ差し替えで再現して
いるため) ここは、カバーパーツを本体に取り付けた状態で、じっくりと面と面がなじむよ
う、擦り合わせて面だし作業や極薄プラ板での隙間合わせをしています。それでも、完全には
段差や隙間が消失しないのは、スナップフィット前提設計のキャラクターモデルならではの
謎・・・。


このアングルの画像だと、艦首の断面ラインなどに、新規で彫り込んだモールドラインが見え
ると思います。一応、シド・ミード氏がライニングしたデザインを参考に、氏の作風・意匠性
を順守したモールドに設定しているつもりです。バルバスバウのスジボリ(モールド)も、キッ
トのパーツでは太くくどかったので、細く深く彫り直したり、底艦首外郭ラインに追加してい
ます。かなり繊細で曲線ばかりなので、スジボリ作業はかなりの時間を要しました。








        


艦体の前半分の画像です。上がキットのまま組んだもので、下がモールドラインを追加した改
修後の状態です。今回は、キットのモールドがバンダイさんのキャラクターキットらしい、や
や太めで浅いスジボリばかりなので、パーツの表面をペーパーで一皮めくって、ケガキ針とモ
デリングソーで、徹底的に彫り直したり、新規でモールドを追加しています。


地味な作業ですが、今回の製作で一番大仕事の作業パートであり、個人的にモデラーとしては
これが主役の作業と考えています。全体で200本くらいシコシコとモールドを描いています。

モールドのライニング設定は当然、シド・ミード氏直筆のデザイン画稿を参照して、このスケ
ールモデルで描けるもの(描いた方がいいライン)を採択しています。あと、模型における「面
を締める」という視覚的効果を検討に入れて。

それにしてもこのキット、艦首部分が1ブロック分くらい短いのです・・・











        


まだしつこく、ケガキモールドについて。(笑) こちらの画像は、バルバスバウ部位の底面で
す。

キットでは、上面はちゃんと設定デザインにほぼ準じてモールドが入っているのに、底面はツ
ンツンルテンのノッペラボウさんです。底面は明確な設定資料がないので、上面のラインとつ
ながるよう、半分想像でモールドをそれらしくライニングしてみました。バルバスバウの輪郭
に沿ったオーバルラインが入るので、ちょっと難しかったです。

だがしかし、これこそがシド・ミードデザインの真骨頂でしょう。








    

    


YAMATO艦の甲板上舷と艦底の画像です。市販の艦船模型用のエッチングパーツをすこし貼っ
ています。キットはあまりにあっさりとしていたので。YAMATO 2520の場合、26世紀の宇宙
戦艦としてデザインされているので、初代宇宙戦艦ヤマトに残っていた海上の乗り物としての
ごつごつしたディテールなどは基本的に見られません。

そこらへんを考慮して、けっして煩くならない程度に、エッチングパーツで精密性や視覚的情
報量を増やしてやる方向性でアレンジしています。勿論、シドミード氏の意向を考慮した上
で。

エッチングパーツの利用には今回約束事を作りました。主に艦体の上面に使用し、艦底はすこ
しだけ。艦の側面(両舷)には貼らない、というルールを設けています。

これらの画像では、小さ過ぎて、どんなエッチングパーツを使っているかさえ皆目わかりませ
んが、結果は完成品画像の方で。


なお、映っている緑キャップの接着剤ビンは、YAMATO船体が単体だとコロコロ転がるので支
えにおいているだけです。










        

        


本キットのパーツ分割構成で、とても気になっていた部位がここ。メインエンジンノズル周辺
です。

上の画像がキットの状態ですが、艦後尾部分全体がワンパーツになっており、初代の宇宙戦艦
ヤマトと同じようなエンジンノズルのデザイン構成に見受けられます。しかし、シド・ミード
氏のデザインでは、TAMATO 2520ではエンジンノズルは最後尾末端のリングのみであり、本
来このパーツの部分は、艦本体に属するパネル部分なのです。

ここに大胆なパーツ分割線が来てしまっていることにより、視覚的にも艦体が小さく見えてし
まう結果となっています。


これに対し、設定デザインのように改修を施したのが、下の画像です。まず、パーツ分割線を
接着してパテで埋めてしまいます。(画像では、接合ラインが見えていますが、塗装時には見え
なくなります) これで艦体構成パネル部分として視覚的認識できるようになりました。

次に当該パーツに、艦側面から伸びているモールドラインを延長してひき、エンジンノズル部
位であることを示すリングのスジボリをぐるっと一周彫っています。


あと、下画像では、艦上面を構成するパネルが途中でカットされています。これは、塗装仕上
げ後に、組み付けられる艦上面全体が一体成形されている大パーツがあるのですが、エンジン
ノズルのパーツを上記理由で、先に接着して合わせ目をパテで埋めておく都合上、艦上面一体
成形パーツの一部が必要だったため、一部をモールドラインで際カットして使っています。

本来なら、塗装前に艦上面一体成形パーツも組み立ててしまうのが常套手法ですが、YAMATO
2520の場合、艦首甲板が三叉(三頭)のデザインになっている都合上、塗装工程まで中央艦首壁
面までついた上面パーツは別にしておかないと、艦首同士の奥まった部分が塗装できなくなっ
てしまうためです。(あぁ、ややこしい・・・ 製作上の都合の苦肉の策ということです)







        


全部で12基もある主砲塔、2基の移動副砲塔、2基の小型砲塔の各パーツ。YAMATO 2520で
は、砲塔のいずれも砲身らしいディテールは存在しません。砲塔のユニットが前方に伸びたよ
うな掲示用をしています。そのため空力的に洗練されたような印象を受けます。 今回、形状的
な修正はしていませんが、やはりモールドの彫り直しや新規掘り起こしをしています。あと、
キャラクターキットなので、パーツの肉厚がある都合、表面が結構波打っているので、ペーパ
ーで一皮剥いて整面しています。


この画像では。それぞれ左がキットのパーツの状態で、右が手を加えたもの(ペーパーがけで多
少白っぽく見えている方です)。主砲は、点数が多いのとモールドラインが複雑なのでかなり手
間がかかります。見ての通り、裏側は底面が造形されていませんので、パテで裏打ちしていま
す。完成時、やはりアングル的にちらりとでも見えますので、無意識的な質感向上策として
も、こうした基本工作は欠かせません。

ちなみに、主砲と小型砲塔については、パーツに砲口の穴が開いていなかったので、ピンバイ
スで0.4mm径の穴を3連ずつ開口しています。









        


宇宙戦艦ヤマトおなじみの対空用標準装備兵器、可視光線によるパルスレーザー。もうかなり
小さいパーツで、砲身を真鍮パイプに換えるとかできません。そんな真鍮パイプのサイズがあ
りません。単に真鍮線なら、0.4〜0.5mm径に置き換えできますが、今回は別の改修方向性
で。

実はこのパルスレーザー、円や楕円のラインを多用するシド・ミードデザインの真骨頂で、身
の断面がハーフサークル(半円)になっています。砲身2連でパルスレーザー1基ですから、砲身
ふたつ合わさると真円になるという、デザインの妙。


当然、キットのパーツは、断面が円になっている普通の棒状の砲身の形で造形されています。
小さいから仕方がないといいえば、そうですが。したがいまして、今回はこれらパルスレーザ
ーの砲身について、内側からペーパーを当てて、砲身を慎重に削っていき、砲身断面が半円に
なるように加工しています。・・・加工しているのですが、小さ過ぎて効果のほどが。。。










        

        

メインエンジンノズルの内部です。ここも格好のディテールアップ箇所といえます。
上の画像がキットのままの状態で、ノズル内部がつるっとしていてディテールがなく、手抜き
な印象の造形です。近くに転がっているのが、今回用意したノズル部位ディテールアップ用、
加工パーツ類です。市販のバーニアパーツを合うように、形状加工ならびにサイジングしたも
の。それと、さらにノズルの最深部(奥)にはめこむOリング。用意した加工パーツ類をセット
した状態が下の画像です。いい感じです。









        


この画像だけだと、箇所の特定がしにくいですが、艦体側面(両舷)にある方向転換・姿勢制御
用の3連バーニアノズルです。艦側面の中央とメインエンジンノズルの中間ぐらいの位置にあり
ます。ちょうど艦内部にモノポールエンジンが搭載されている位置ですね。メインノズル同
様、エンジンと直結している設計なのかもしれません。

キットの造形では、縦に凹みが3つ並んでいるだけだったので、ピンバイスで斜め後ろへアン
グルをつけて開口し、市販のディテールアップ用極小ノズル(1.5mm径)を仕込んでいます。こ
の画像では、仮付け なのでちょっと浮いた感じですが、本組みではもうすこし奥までセットし
ます。








        

        


艦長室、指揮艦橋(エグゼクティブ・ブリッジ)、戦闘艦橋(バトル・ブリッジ)などで構成され
ているアイランド全体を後方から見た画像です。上の画像がキットのままのノーマルな状態。
下の画像が改修後です。

シド・ミード氏がいくつか描かれた、ブリッジアイランドの後方からのイラストレーションで
は、こんな感じでブリッジ裏側の壁面に、複雑怪奇なメカニックが高層ビル群のように露出し
ています。

下地にエッチングパーツのプレートを密着させ、その上に、細切れにしたプラ片をそれらしく
レイアウトしています。もう1cm四方しかないような小スペースなので、まあ雰囲気だけでも
似せられれば。わたしは視力は達者な方ですが、流石に極粒プラ片のセットは難儀しました。

あと、このアングルの画像ではわかりにくいですが、ブッリジ周辺のモールドも、彫り直した
り新規追加しています。










        


上の画像ではピンボケだったので、もうひとつ。アイランドから左右後方へと伸びている水平
マストとその先端のロケット部分について。YAMATO 2520にはアンテナらしいパーツが見当
たらないので、これが電探系の機能をもっているのでしょうか。

キットのパーツでは、まず水平マスト(フィン?)の厚みがありすぎです。これを半分の厚さに
なるよう、慎重に薄く加工しました。固定翼と考えて前縁後縁のテーパー加工も。先端に付い
ているロケット部分は、底面のフタが省略されて空っぽなのが、あおりアングルでは見え見え
になるので、プラ板で塞ぎました。

ロケット自体も設定では、シド・ミード氏らしいパネルラインが周囲にぐるっと入っているの
で、ケガキ針とモデリングソーで新規彫り起こしをしています。後方断面の半円を描くのが難
しかったです。









        


こちらは、初代ヤマトでいうところの(不死鳥の)第三艦橋。YAMATO 2520では、ブリッジ的
な機能より、艦載機の発進口構造体といった方が適切かもしれません。したがって、内部は格
納庫に通じるエレベータのスペースが大半になっているはずです。

ここの後方壁面を、上述のアイランドのところでやったディテールアップの簡易版という感じ
で、軽くエッチングパーツでアレンジしてみました。










        


メインエンジンノズルの手前につく垂直尾翼、水平尾翼のようなフィンです。ここらへんの意
匠は、初代宇宙戦艦ヤマトから継承されている感があります。

画像右半分がキットのパーツ状態。いかにもボテッと肉厚があり、スジボリも不必要に太いで
す。

左が改修後です。やはりここのパーツ類も、一枚板といえど肉厚がある造形になっているの
で、できるかぎり薄く加工するのと、モールドのデザインが設定と違うので、埋めてモールド
の修正・彫り直しをしています。










        


なんだか電子回路チックな細かな造形・ディテールが集合した工作部品・・・。
さて、これは何でしょう? 答えは以下の画像で。











         


答えは両舷にある窓部分からチラリと見える、わけのわからないメカニック部分でした裏側か
ら嵌め込んでセットできるように工作してあります。こちらは、ひとつ上の画像に映っている
ボックス状の部品を使っています。

ちなみにキットの状態では、この窓の箇所は塞がっており、筋線がモールドされているだけで
す。そこを丁寧にくり抜いて、窓枠の穴を設定。次に窓の断面が薄く見えるよう、舷パーツの
裏面から肉厚を削り込んでいます。










         


上の画像の舷窓部位には、さらに透明塩ビ製フィルムで、ウインドウシールドとなるクリヤパ
ーツを用意しました。ひとつひとつ、隙間ができないようにサイジングしてカットしているの
で、嵌め合わせする箇所と方向は、ひとつひとつ決まっています。

塗装後の組み付けまで、保管もこのように固定して、位置関係を把握しておかないと、後で困
ることになります。ちなみに米粒のようなパーツですが、金属製ピンセットでひろうと、すぐ
表面に傷がつくので、扱いが大変です。








        


こちらは、艦底の方のブリッジ側面。こちらも、設定にある?メカニックなディテールをこの
ように再現しています。こちらはエッチングパーツや真鍮線も使用しているので、塗装しなく
ても、すでになんだか雰囲気出ていますね。画像だと大きく見えますが、実際はかなり小さな
部分です。

こちらは、ウインドシールドがつかないのでこのままです。その分、立体的に外側へはみ出す
ようにも部材を構成できたので、メリハリがついて見えるようです。

製作レポートはこれでおわりです。




               投稿者: K                                    No コメント