IIIKのモデラー三昧なフロク

  これまでに完成させた作品です。
  このページは、SF特撮に登場する乗り物の模型を紹介しています。







         テーマ: SFの乗り物
         日時: 2015年12月05日


ピンク色の6輪スーパーロールス ペネロープ号
Lady Penelope's Rolls-Royce FAB1 Thunderbirds




        




未来永劫、最高峰とうたわれるSF人形劇より

50歳代前後の方なら知らない人はいないかもしれない『サンダーバード』。鬼才ジェリ
ー・アンダーソン氏率いる英国のAPフィルムズが、1965年より制作・発表した世界最
高峰のスーパーマリオネーションによるSF作品です。
 
精巧で人情味と生命感あふれる人形活劇であると同時に、ミニチュア模型を使用したSF
特撮番組としてもハイグレードな内容で、後年世界中のSF作品などに与えた影響は計り
知れません。
日本でいえば、この当時リアルで大規模な特撮技術を駆使して高い評価を得ていた『ウル
トラセブン』(1966)は、かなりサンダーバードを範としていたようです。また、『Xボ
ンバー』(1980)はそのままSF人形劇+ロボットモノとして、当時の日本の子供たちの目
を楽しませてくれました。
そうそう和製人形劇ということでは、ちょっと毛色が違いますが、同じNHKで『プリンプ
リン物語』(1979)というヒット作品もありましたね。


  


さて、この『サンダーバード』(全32話)の日本国内におけるTV放送は、1966年からNH
Kでスタートし、その後も人気番組として長年の間、同局や民放で再放送が繰り返されて
いたようです。
わたしもご多聞に漏れず、小さい頃はよく視聴していた記憶がありますが、もともとは生
まれる前の作品なので、ストーリー的な内容の部分は、もう曖昧模糊としていてほとんど
覚えていません。きっと再放送を途切れ途切れに視聴していたのでしょう。

もっとも、あの勇ましくもノリがよくて印象深い「♪パッパッラパー パッパッラパッパ
ッラパッパッパー・・・」というオーケストラ(半マーチ)は、ずっと耳にこびりついて離れ
ませんが。もちろん、あの独特の人形の動き方、とくに会話時の癖のある口の開き方など、
マリオネーションそのものに強烈なインパクトがありました。


  


最近知ったのですが、この『サンダーバード』って近未来の話だったのですね。時代設定
については、2026年と2065年のふたつの説があるそうですが。とすると主要な登場人物
は、50歳代のジェフ・トレーシーやパーカーを除いて、この2016年現時点では皆子供か、
未だ生まれていないってことですね。
まあ、放送当時はそんな設定背景的なことお構いなしに、国際救助隊が駆使する、オリジ
ナリティあふれる魅力満載の各スーパーメカの活躍の方に、世界中の少年達の目はくぎ付
けだったように思います。













          





シルキーピンクをまとった究極のレディ・スパイカー

ここから今回の本題。6輪ロールスロイスのスーパー・スパイカー「ペネロープ」号です。
サンダーバード国際救助隊のロンドン支部シークレット・エージェント、専属諜報活動員
であるレディ・ペネローペ(ペネロープ・クレイトン・ワード)は、由緒ある英国貴族クレ
イトン・ワード卿の子女です。冒険が大好きな26才の貴婦人ですが、日本放送ではペネロ
ープ役の声優さんが、窓際のトットちゃんの中の人で、ちょっときつい印象があった覚え
があります。





セレブにして美貌の持ち主で、国際救助隊の花形といったところですね。娯楽TV番組と
しても絵的に女性のカットはほしいところ。国際救助隊のロンドン支部とは、彼女の邸
宅だったりします。場所はイングランド南部の田舎町フォックスレイヒース。
彼女はもともとヨーロッパ諜報連合、フェデラル・エージェント・ピューロー(F.A.B.)
に所属しており、その活動中、国際救助隊を設立したジェフ・トレーシーの考えに賛同
して同救助隊に参加したそうです。


 


ペネロープ号は、彼女が高級車メーカーの最高峰ロールスロイス社に特注で製作させた
ラグジュアリーな専用のスーパースパイカーです。製作費は、なんと2,500ポンド(貨
幣価値は1965年当時としてでしょう)。漆黒の美のイメージが強い、かのロールスロイ
スを上品な?シルキーピンクのボディカラーにしてしまうあたりは、やはりセレブリテ
ィの趣味ですね。
ペネロープ号は呼称であり、正式な名称は、以前の彼女のF.A.B.所属にかけて「FAB1」
(ファーブワン)となっていす。また、これには「ファビュラス」(いかした)の意味もか
けてあるとのこと。ちなみに大富豪の彼女は、「FAB2」(自家用大型クルーザー)、
「FAB3」(競走馬)も所有しています。


 


1965年当時の頃の映像娯楽作品としては、すでに『007』でジェームス・ボンド氏が
駆るアストンマーチンDB5改造の「ボンドカー」などの特殊カスタムカーが多大な人
気を博していたこともあり、サンダーバードでもこのようなラグジュアリー・スパイ
カーが作品に投入された感もあります。
ペネローブ号の外観で最初に目をひくのは、やはりピンクのボディカラーであり、次
に独特のバブルキャノピーが近未来カーとして印象を強くしています。特殊諜報専用
車両として、ボディは耐放射線装甲を纏っており、キャノピーはもちろん防弾ガラス製。


 


そして、前輪4つのシックスホイーラーは、この車両がタダモノではないことを見る者
すべてに訴えかけます。わたしは映像で見た覚えはありませんが、この6輪すべては、
なんと180度回転式で、車体は真横へ移動可能だそうです。
全長は巨大でもドアは2枚のクーペタイプ。乗降時のドアの開き方は、バブルキャノピー
の一部(サイドウインドルーフと呼ぶべきか)とドアが上下に観音開きするという、独特
で絵的にも魅せるアクション。つまり、キャノピーはメルセデスベンツ300SLのような
ガルウイング式で、ドアはその逆ガルウイング式でステップ(昇降台)になって車体下部
に引き込まれるというナイスなアイデア。テレビの映像でこの一連のアクションがサラ
リと表現されていると感動します。


 


一方、車内に目を移すと、前席はセンターに配置されたドライバーシートだけ。1991
年頃に発表された市販車マクラーレンF1あたりを想起します。あちらは3人乗りでした
が、ペネロープ号の後席は一応3人座れます。
こんなロールスロイス、世界中探しても2台とありませんね。搭載エンジンは、ロール
スロイス製ガスタービンエンジン(水上走行用渦水流ジェットエンジンを兼ねる?)とな
っています。このエンジンユニットの正体は極秘扱いらしいですが、(当時の)現用唯一
の垂直離着陸用ロールスロイス・ペガサス系Mk104の発展改良型が搭載されている可
能性が高いです。


 


ペネロープ号の主なデータはこの通り。全長6.4m、全幅2.44m、車重3t、最高速度
320km/h以上、水上最高速度50ノット、最大乗車人数5人、緊急時最大加速10G。

諜報活動用特殊車両としての装備・武装も満載です。
フロント周辺では、ロールスロイス車両の伝統でもあるギリシャ・パルテノン神殿を
模したとされるフロントグリルと、3連ヘッドライトの中央ライト部分に強力な隠し
マシンガン。パワフルで巨大なエンジンを搭載していたり、こうした武装による自重
増加を支えるため、前4輪になっているのかも。
リヤ周りでは、テールランプユニットそのものが開閉式になっており、牽引ワイヤー
付きのアンカー(銛)が射出される仕組み。また後方へ向けてのマシンガン、煙幕噴射
装置も。追跡車両をまくためのスリップオイル・タンクも装備しています。ここらへ
んのスパイ装備の採択はボンドカーからの影響が散見されますね。

リヤトランクには、昇降用リフトが格納されているようなのですが、残念ながら本編で
は登場せず。シャーシ(車体下部)には、水上走行用のホバリング装置。また収納式スキ
ッドがあり、水中翼を展開することで高速船のような水上航行もできます。


 


スパイカーとして重要なのは、むしろ車内の仕掛け。ドライバー正面のモニターは、
外部との映像通信に使用したり、バックミラーの代わりとなる後方の映像を表示。マ
シンガンなどの武装を装備しているため、車内には戦闘機のHUD(ハッド。ヘッドアッ
プディスプレイ)のような直視照準器もせりでてきて厭がおうにも戦闘シーンの映像に
臨場感を高めてくれます。
他には、普通にカーラジオ(近未来なのになぜかアナログデザイン)、会話録音装置(こち
らもなぜかアナログのオープンリール式)などもあります。ちなみにハンドルは、既存の
円のそれではなく、フォーミュラーカーもしくは飛行機の操縦桿のようなデザインにな
っています。






           



バブルキャノピーを取り外した状態の車内。
お人形さんはもうオーバースケールですね。





           



ドライバーズシートバックレストから延びているマイクは、
キットでは右側に付いていたので、左側につけ直しました。
パーカーさんパーカーさん、ちゃんとハンドルを握りなさい。





           



お人形さんをはずして、パチリ。後席のモ
ニターパネル周りはローズウッドの色調で。





           



オプション別売りのレディ・ペネロープとパーカー執事
1/32スケールなので、実際はこんなに大きくありません。
肌の部分はサフレス塗装で透明感をだしています。眼
の部分は、映像の現物を見本にして、瞳孔の輪郭が黒
で内側がブルー。仕上げはクリヤーで潤んだ瞳に。瞳孔
を大きく描くとサンダーバードキャラクターらしくなる。
二人とも爪や唇、ほっぺたの色合いも調整しています。




           



ペネロープの衣装カラーは、当方のオリジナル。パーカー
お馴染みのグレーの制服は、微妙に暗めにしてあります。
いざ車内に座らせてみると、膝から下が長すぎて中腰に
なってしまう設計だったので1cmくらいカットしています。





          



ペネロープ号のシャーシ。見ない方が吉。




          


自作マフラーやパイプ類には、一応溶接跡風の色つけなど。





           



オオッと(汗)、肝心のペネロープ号運転手パーカーのことを書くのを忘れるとこ
ろでした。
本名はアロイシャス・パーカー 、52歳。代々召使いの家系の生まれだそうです。
子供の頃はホバークラフト特殊装置の特許を取得するほどのメカ少年だったそう
です。しかし、仕えていた貴族が没落したため暗黒街にその身を落としてしまった。
その技能を活かし、その筋では世界一有名な金庫破りまでになりましたが、やがて
逮捕されます。当時の通り名は、ノージー(鼻が大きいから?)。改心した刑務所出
所後、レディ・ペネロープに出会い、その才能を買われてからは彼女に忠誠を誓い、
上級執事となりました。
レディ・ペネロープに仕えることで、彼は第二の人生の喜びをつかんだといえます。
でも、今でも金庫破りの7つ道具は携帯しているそうです。













ちょっとだけロールスロイスや英国の与太話

「ペネロープ号」(FAB1)、サンダーバード放送当時のデザインならびにプロップ製
作にあたっては、実際にロールスロイス社の承認を受けた正式なものとなっているそ
うです、すごい。
ロールスロイス独特の格式とトラディショナルなフォルムと、未来&スパイカーとし
ての意匠の融合はかなり難しい仕事であったでしょう。ロールスロイス独特の気品と
優雅さを兼ね備えた外観性が一向に損なわれていないのは、そのためかも。

ロールスロイスのことも、すこし書いておきましょう。
まあ、市井を生きる庶民にはベンツやフェラーリ以上に縁のない超高級車ですね。
シルバークラウドとかファントムとか。高級車メーカーですが、航空機のエンジンも
作っていますね。日本の代理店はコーンズさんなど。

ロールスロイスの社名は、1906年創業当時の出資者チャールズ・スチュアート・ロー
ルズ氏と、技術者フレデリック・ヘンリー・ロイス氏を組み合わせたもの。日本のダ
ットサン(D、U、Tの息子)とかと似ていますね。有名な、パルテノン神殿をモチーフ
としたといわれるラジエーターグリルのデザインはこの当時からすでに確立されてい
たらしいです。
さらに品格と気品を高めているのは、そのグリルの頂点に立つ、羽根を広げた精霊像
スピリッツ・オブ・エクスタシー(Spirit of ecstasy)の存在。これなくしてはロール
スロイスではありえません。もちろんペネロープ号にも付いています。

RRの文字が刻まれた縦長方形のエンブレムは、1933年のF・ヘンリー・ロイス氏死去
により、エンブレムの赤地部分を喪に服して黒地に変更したという逸話も、旧車好き
の間では割と有名な話ですね。エンスージャスト系カーコミック『GTロマン』のある
エピソードでも語られていましたね。

皆さんは、ショーファー・ドリブン(chauffeur driven)という言葉をご存じですか?
ショーファーとは「お抱え運転手」の意味です。つまり、お抱え運転手付きのクルマ
のことをこう呼ぶのです。英国から生まれた言葉であることは云うまでもありません。
そしてこの言葉が一番似合う車は、ペネロープ号と運転手パーカーの関係を見てもわ
かる通り、ロールスロイスがその所以であり典型なのです。
2004年にはサンダーバードがリメイクで実写映画化され、ペネロープ号はフォード製
となりましたが、やはりロールスロイスの方が様になっているかも。

「単に自動車とは呼ぶな。ロールスロイスはロールスロイスである。」
RR社企業売却後の現在は知りませんが、伝統と格式、品格と社威を何より重んじるそ
の深い歴史に刻まれた誇り高い企業姿勢は、まさに英国に蔓延る気高い紳士精神その
ものです。


わたしは以前、仕事の取材でイタリア、イギリス、フランスにそれぞれ1週間ほど滞在
していたことがあります。まあ一口にヨーロッパの先進諸国といっても、文化形態や
民族性で人柄はこんなに違うものかと驚かされたことがあります。
食事が大変美味しかったイタリアの人々はおしなべて陽気で大雑把。フランス(パリ)の
人は、本当に日本の都会の人と同じ気質でした。今風な表現だと準ツンデレと書きま
しょうか。愛想がどちらかというと悪い。道端で困っている人がいても声をかけない、
助けない。自動車の運転も概ね荒い。しかし、友達になると急速に仲良くなる。

一方でイギリスは、都会のロンドンから国土中心ののんびりした田舎あたりまで、本当
にいろいろ回りましたが、本当に紳士の国でした。食事の際ある店に入って、狭い通路
をすれ違うだけでも、向こうから来た人は道を譲ってくれるか、きちんと笑顔で挨拶を
してくれる。田舎道でも横断歩道をわたる際は、通行中の車がわざわざ止まってくれる。
この時クルマの中の人はやはり微笑なのです。皆さんジェントルマン。女性ももちろん
親切です。

イギリス郊外や田舎の道では、ところどころに「ランナバウト」という、道路が直径
30m前後の円環状に設計された分岐部分があります。円道の外周には、いくつか道が枝
別れのようにあって、自動車はこのランナバウトを回りながら、行きたい方向の道へ折
れていけばいいのです。このランナバウトはフランスにもありましたから(パリ凱旋門の
周りの道も大きなランナバウトということができます。)、他の欧州諸国にもこのような
ランナバウトがいろいろとあるのかも。

巧みなスーパーマリオネーションで演出された、英国の不朽の名作『サンダーバード』
は、昨今の凡百なSF作品のような戦闘をテーマにしたものでなく、「救助活動」を前面
にだしたあたりが、平和と友愛のメッセージ性が込められている印象が強いです。
サンダーバードは、こうした英国独自の紳士的な精神を色濃く反映させた作品であるが
故に、50年経った現在も世界中の多くの人々に愛されてるのではないでしょうか。













    ー ここからキットの製作レポートです ー




イマイ製ペネローブ号の製作レポート

サンダーバードがお好きな方からのご依頼でキットを製作させていただきました。
SFチックなカーモデルの製作は大変愉しいものです。ご依頼を大変ありがとうご
ざいます。

今回扱わせていただいたプラモデルは、末期のイマイ社より発売された1/32スケー
ル「ペネロープ号」(リアルタイプ版)キットになります。もともとは、60・70年代
の『サンダーバード』TV放送当時に発売された子供向けキットであり、本キットは
そのボディパーツを金型改修したり、デコレーションパーツをすこし充実させたり・
・・といった内容で構成されているようです。

当時のキットでは、ボディパーツの成形色はなぜか青だったそうで。ピンク色では
男のコに買ってもらえない、とかナンとカンとか。昔のキットの内容がわからない
ので、実際どういった改修が施されたのかは不明ですが、やはりだいぶ改修はされ
ている気がします。

・・・と書いても、もとが子供向けのトイチックな設計・構成のプラモデルだった
ので、アップデートされてリアルタイプ版と銘打たれてはいても、通常のスケール
モノのカーモデルと比べると、けっこう大雑把な造形のままです。とくにシャーシ
はゼンマイカー並みの平板なまま。ドアミラーとエキゾーストパイプのパーツが付
いていません。

やはりこのキットは、無理せず昔のキットの面影が漂う存在であり続けた方がよい
ということなのかもしれません。救いは、一応ちゃんとグリルやバンパーなどはメ
ッキ部品になっている。キャノピーやヘッドライトなどがちゃんとした造形のクリ
ヤーパーツになっていること。計器系用のデカールと、キャノピーやウエストライ
ンに貼るメッキライン用が付属すること。
旧キットでは恐らく、このようにさえなっていなかったはずですので。しかし、お
そらくこの付属品は、このキットを塗装せずにパチ組みで仕上げられるように用意
された内容である印象もあります。

もとはお子さま仕様のキットですが、これらのお陰で真面目に製作すれば、一応普
通のカーモデル並の外観仕上がり性は確保できそうです。ただし、メタルシールは、
一応立体裁断にカットされてはいるものの、詰めが甘くボディの曲線にちゃんと対
応していないので、貼ると多少のシワができてしまいます。
・・・シャーシは普段見えないし、無視しましょう(笑)。

また、この復刻改修版キットの発売にともない、キットには付属していないペネロ
ープ婦人、運転手のパーカー執事の搭乗フィギュアもオプション別売りで発売され
ており、今回は一緒に製作しています。バブルキャノピーで車内が丸見えシースル
ーの車両ですし、スーパーマリオネットがウリのサンダーバードですので、やはり
フィギュアはあった方が断然いいですね。

だだ一般的にペネロープ号自体あまり人気がないのか、このキットの作例はとんと
見かけませんね。
基本的にストレート製作ですが、細かい個所などはやはりディテールアップをして
いきます。以下より、各部位における改修ポイントなどの製作状況レポートです。





          



ボディパーツです。全長6.4mもある車両なので、1/32スケールでようやく1/24カ
ーモデル並の大きさです。
造形自体の方は及第点。ただキットのパーツ状態ではボンネット、ドア、トランク、
サイドウエストラインなどのスジボリが、単なる浅い溝枠レベルのつらい造形。粘
土に、先の丸くなったB2鉛筆をあてたような感じです。パーツ表面のヒケ・ウネリ
もかなりすごい。さすがもと子供向けのキット。プラの厚みもすごいです。
これでは塗装仕上げしても興ざめだし、パネルラインのスミイレも入らない。とい
うことで、ペーパーで一皮めくる感じで、徹底的にボディパーツの整面処理をして
います。パネルラインのスジボリは当然、新規でコツコツ彫り直しています。必須
工作だと思います。

ボディカラーのピンクの塗装については、色フレや人によって印象や好みがわかれ
る結構難しい色です(中間色であるため)。本キットのオーナー(製作ご依頼主)のご
希望・意向をよくディスカッションなどでお聞きし、イメージぴったりの調色ピン
クカラーを用意します。ド派手な赤系のピンクやショッキングピンクは避け、サー
モンピンクやぺージュ(シルキー)ピンクの要素が入った、セレブのペネロープ婦人
に相応しい、上品でノーブルなピンクに調色しました。最終的な決定ポインはやは
り、作品映像の中のペネロープ号プロップのピンクのイメージを遵守してあります。

ボディパーツはプラサフによる下地塗装後、発色処理の中塗りをして、調色ピンク
のソリッドカラーを塗装。その上から、ハイコンク(高濃度)のホワイトレッドパー
ルクリヤーをコーティングして、独特の高級感と煌びやかさをだしています。パー
ルの演色性は画像ではとんとわかりませんが。

この後、カーモデルとしてのテカテカ(テロテロ)ツヤツヤ感をだすために、高品位
クリヤーを2日間4工程に分けて、たっぷり目の4コートしています。カーモデル製
作の楽しいシーンでありますが、時間と神経(ホコリ・タレ・ムラ)を使うステージ
です。画像はこの直後の状態です。

この後、冬場なので、たびたび軽く熱風乾燥(ベーク作業)などを加えながら、3日間
の完全乾燥。その後、部分的な研ぎ出しとコンパウンドがけ。そして、ワックスがけ
をしてピッカピカのボディに仕上げていきます。チラッと映っているのは、研ぎ出し
用の各微細番手のメッシュシートとコンパウンド。






          



ギリシャのパルテノン神殿をモチーフにされたという、あまりにも有名なロールス
ロイスの威風堂々とした巨大なフロントグリル。
ペネロープ号のグリル中央には、スパイカーとしての機関銃の銃口が飛び出ており、
このキットでは、それがデフォルトの設計構造になっています。今回は通常形態
(武装系は格納)でのご製作なので、銃口部分の穴を裏からフタできるバーを、画像
のように用意。グリル側の穴は、ちょうど神殿の柱の位置にあたるので、それに合
わせる形でフタの表面は一応立体的な造形にしてあります。フタの表面の着色は、
メッキシールを貼っています。






          



3連フロントライトユニット(画像左半分)と、リヤコンビネーションランプ
(画像右半分)です。
各々、スパイカーとしてライトが引っこんで機関銃口やモリがでてくる構造となっ
ており、キットではそれが再現できるようになっています。今回は通常形態での製
作なので、これらは使いません。ユニット本体側のメッキパーツはその取り付け用
の穴が開いたままなので、裏側からメッキシールをあてがって、穴を閉じています。
やるとやらないどては、仕上がりで差がでます。
フロントライトの方は、キットオーナーの意向でバルブ部分をクリヤーイエローで
着色しています。これによって、ちょっとフロントマスクの印象に色気がでるように。






          



ペネロープ号には、リトラクタブル(可倒)式のドアミラーが装備されています。
超高速で走行・飛行する際は、空気抵抗的に邪魔なので格納するのでしょうか。
イマイのキットでは、なぜかこのリトラクタブル(可倒)式ドアミラーのパーツが付
いていません。難しい造形ではないので、基本プラ板から箱組みで作り起こします。
造形のポイントは左右シンメトリーと、リトラクタブル式に見えるように。
画像左が、右ミラーの正位置セット状態。画像右が裏側を見たところ。固定用軸打
ちの真鍮線が見えます。小さなグレーのパーツは肝心のミラー部分の枠。ミラー部
はメッキシールからの切り出しです。






          



ペネロープ号は由緒正しきロールスロイスのカスタムカー(ちゃんとRR社で製作
された)。ですが、格調高いロールスロイスのエンブレム(オーナメント)は、こ
のキットではフロントグリルだけ造形されていて、サイドボディの分は忘却され
ています。ついでにドアノブもない・・・
簡単ですが、サイドボディのエンブレムとドアノブを薄いプラ板で切り出し整形、
メタリックシルバーで塗装。エンブレムの彫刻はできないので、雰囲気だけでも
と、デカールの小さなアルファベットのR文字を貼ってから、エンブレムをドア
の前位置に取り付けます。





          



車内後方、リヤシートバックの後ろのスペースには、このようなエア噴出口(エ
アコンディショナー?)がありますが、イマイのキットでは省略されています。
これは、市販のディテールアップパーツ(長方形バーニア系)からジャストサイズ
のものを選び、薄く加工してそれらしく。これだけだと詮ないので、内側に張る
エッチングメッシュを切り出して、フラットブラックで塗装してみました。





          



リヤトランクリッド前方あたり左右に装備されているツインアンテナです。根
元位置からやや後方へ角度がついています。アンテナ部分は、キットでは金属
パーツで再現されています(画像下)。やや太めに感じるので、市販のサカツウ
製カーモデル用ドレスアップパーツのアンテナ(画像上)に換装します。






              



オプション別売りのパーカーとペネロープの同スケールフィギュア。いつも思
うのですが、イマイさん製のこうしたキャラクターフィギュアはなかなか造形
が素晴らしいです。塗装してはじめてわかる素晴らしさなのですが。

ちゃんと成形色がアイボリーになっているので、小スケールだろうとも、今日
主流となっている美少女フィギュアなどのガレージキット製作における、透明
感のある肌の質感を表現するサフレス塗装法(マスキングで)で仕上げます。サ
ンダーバード劇中のスーパーマリオネットたちも実に生命感がある塗装表現に
なっていましたし、なるだけ似せたいところです。
画像は、各パーツの整形・製面、軸打ちを終えて、塗装前の状態。まず肌のサ
フレス塗装を行うので、プラサフが吹けないので、視認できるぎりぎりのとこ
ろまで、この段階で表面処理を徹底的にやってしまいます。

各々撮影で画像のホワイトバランスがおかしくなってしまっています。実際は
同じ色の作業シートなのです。フィギュアの成型色も同じ。見苦しいですが、
ご勘弁を。






          



造形自体はよいと書きましたが、なんだこれは・・・という展開に。(汗)
フィギュアを仮組みてして、いざ車内の定位置に座らせてみると、膝から下の
足の部分が長すぎて、まったく座れません。これ専用に設計されたフィギュア
の筈なのに。。。どうして?

画像のペネロープはシート座面からお尻が1cm!も浮いています。
中央運転席側のパーカーはやはり腰が座面から5mm浮いており、さらに靴の
つま先が、バスタブ構造の車内パーツの内壁にぶつかって、ちゃんと収まりま
せん。(汗) イマイさん、実装せず造形した?

したがって、両フィギュアは、搭乗姿勢の自然さに重きをおいて、膝から下の
脛あたりを、各々1cm、5mmカットする大手術を受けてもらうことに。パー
カーのつま先が当たる問題は、バスタブ車内パーツ内壁(バルクヘッド側です
ね)の方に、穴を開けて逃がすことにしました。

製作レポートはこれで終わりです。



               投稿者: K                                    No コメント