IIIKのモデラー三昧なフロク

  これまでに完成させた作品です。
  このページは、クルマの模型を紹介しています。







         テーマ: クルマ
         日時: 2015年8月8日

透明なる闘牛魂の挑戦
LAMBORGHINI MARZAL bertone
ENTEX(バンダイ) 1/20 ランボルギーニ・マルツァル





       



       




未来を見据えた幻のプロトタイプカー

さて、今回はかなりマニアックな車です。
この「ランボルギーニ・マルツァル」を知っている人は、かなりのカーマニアかもしれませ
ん。


スーパーカーブーム直撃世代の人なら、ランボルギーニといえば、とかくカウンタック、ミウ
ラ、イオタといった人気の高い車種を思い浮かべるところです。しかし、エンスージャスト系
の人や熱心なスーパーカーブーマーだった方なら、その他にも同社初の市販車である350GT、
450GT、イスレロ →ハラマ(イスレロ後継車)、エスパーダ、ウラッコP250(小型車2+2) 、シ
ルエット(ウラッコの2シーター版) → ジャルパ、チータ(これはランクル系)などが存在してい
たことを覚えているはずです。


これらの中にあるエスパーダは、1960年代から1970年代にかけてのランボルギーニの車両で
もっとも数多く生産された車種であり、その原型にあたるショー展示用試作車だったのが、こ
のマルツァルです。ショウカーと同じような立場のコンセプトカーには、ブラボーという車種
もありました。


ランボルギーニ・マルツァルは、ベルトーネ社在籍当時のマルチェロ・ガンディーニ氏のデザ
インによるフル4シーター・サルーンクーペのプロトタイプカーです。1967年に開催されたス
イス・ジュネーブ自動車ショーに出展され、その斬新なスタイリングと奇抜なスケスケルック
で一躍有名になりました。

常に打倒「赤の駿馬」(マラネロの某)を標榜しつつも、1962年の創設からそんなに経っていな
いサンタアガータの闘牛こと、ランボルギーニ社はミウラのような大排気量V12気筒のスーパ
ーカーだけでなく、斬新なコンセプト・パッケージングによる快適スーパーサルーンの開発に
も興味があったようですね。


この頃のランボルギーニにはまだ虎の子カウンタックはなく、ミウラ(1966年)がイメージリー
ダーでありフラックシップモデル。しかし、そのミウラでさえ、横置きミッドシップエンジン
を搭載した量産車両という点では、当時依然としてV12エンジンをフロントに搭載していたデ
イトナ(365GTB/4)をフラッグシップモデルとしていたフェラーリより、1歩も2歩も先を行っ
ていました。


伝統よりも革新を追い求める企業姿勢が、後発ゆえのランボルギーニには強かったのかもしれ
ません。ミウラで一応の成功をおさめた同社は、ミウラのコンパートメント・部材を利用し
て、実用的な4シーターの車両開発に乗りだした。それがマルツァル開発の発露なのかもしれま
せん。







                   


           空を飛びそうなガルウイング。乗降性は?





         


        車内を魅せるアンチ・プライバシーな発想の空間デザイン。







マルツァルはどんなクルマ?

マルツァルに関するデータ・スペックなどについても簡単に触れておきましょう。
車体寸法については、プロトタイプカーなので、正確な数値は不明ですが、車高は1,100mmと
思われます。かなり低いです。シャーシはミウラのプラットフォームを延長しているようで
す。


エンジンは、やはりミウラの60°V12気筒の片バンクを取り除いた直列6気筒。したがって排気
量は半分の1997cc。これをお約束の3連ウェーバー・キャブレター(ダブルチョーク、
40DCOE)で175馬力を絞り出す。スペック的には一応スーパーサルーンと呼べるものですね。

肝心のエンジンレイアウトは、ミウラのように前輪トレッドと後輪の車軸の間に収まる純粋な
ミッドシップスタイルではなく、後部座席に押しのけられる都合上、リヤアクスルを跨ぐ形の
リヤミッドシップスタイルとなっています。


しかし、このマルツァルにおいては、そうしたデータスペック的な観点よりも、何よりその車
両デザインのインパクトが圧倒的に強く、67年のジュネーブショーで衆目をさらった最大の要
因といっても過言ではありません。

トリノ・ベルトーネの巨匠マルチェロ・ガンディーニはこの平凡そうなパッケージに見える4シ
ーターサルーンを氏独自の斬新な手法で、快適さとスポーツ性、そして未来感覚を融合したデ
ザインに仕上げています。


その最たるデザインの特徴となっている意匠部分は、やはり車内を取り巻く全面ガラス張りの
レイアウト。ルーフとサイドドアをほとんどガラスで構成することで、視界性の確保と開放感
(とショーモデルとしての視覚的衝撃と話題性)をねらったユニークなカースタイリングです。

マルツァルはフル4シーターでありながら、2ドアのクーペであり、またガルウイング式ドアを
採用しています。わが国でもバブル時代にトヨタ・セラというシースルー&ガルウイングの車
両がありましたが、こんな昔にすでにそのカーデザインの源泉があったんですね。


ただ、この頃のカーグラフィック誌(マルツァルの記事は1967年8月号掲載)を紐解くと、やは
りこのガラス張りの奇抜なアイデアには賛否両論で、「公道で走る限りプライバシーはゼロに
近く、使い物にならない」などと酷評されていました。

デザイン的にもドアのウエストラインがウインドウで消失・遮断されたことにより、「フロン
トフェンダーからクォーターピラーまでのサイドラインが分断されていて、美しく見えない」
といった残念な意見も多かったようです。

こうしたネガティブな要素を払拭するかのように、より実用的に改良されたのが、1年後に量産
化が始まったランボルギーニ・エスパーダといえるでしょう。


一方で、この頃のベルトーネ(ガンディーニ)お得意のデザインアクセントの手法といえば、ミ
ウラのエンドパネル・アンダーガーニッシュにも採用されているハニカム(蜂の巣風の六角形。
亀甲模様ともいう。微妙に六画形を横長にしたりしている)構造です。マルツァルには、車内外
にいろいろとこのハニカム意匠が採用されています。

目立つところでは、リヤベントルーフ。水平位置で見える隙間が全部ハニカムになっていま
す。そして、車内のメーターナセル、センターコンソールなどもハニカムデザインで構成。よ
く見ると、シートの座面(クッション)も六角形・・・ちょっとくどいくらいが、プロトタイ
プ・ショーモデルには必要なのかもしれませんね。


最後に、マルツァルの名前の由来ですが、ランボルギーニ伝統のそれです。ミウラ同様、スペ
インの闘牛一族の名称を授かっています。リヤガーニッシュに刻まれた「Marzal」の文字は、
ミウラの手法と同じく闘牛モチーフとなっています(アルファベットに牛の角と尾をからませて
いる)。(ちなみにエスパーダは刀剣、カウンタックは驚愕の意とか)







         


        ランボルギーニといえば、やはりこの格好が絵になります。










         


    天井までガラス張り。ドア中央の小さな長方形のシルバー部分がドアノブ。









マルツァルを唯一?キット化したメーカーとは

ご依頼で今回製作したキットは、うちでは珍しい舶来の品です。
マルツァルなんて、過渡期的なプロトタイプカーをキット化した奇特なメーカーさんと
は・・・

ENTEXという国籍も定まらぬメーカーです。なんて冗長な話はおいておき、実はバンダイさん
の海外版。勿論パッケージも組み立て説明書もすべて英語のキットです。何年頃にキット化さ
れた品か、今となっては知る由もありませんが、1970年代に一世風靡したかのスーパーカーブ
ームに便乗して、もともとは国内向けにキット化された品であるような気がします。


この国内版は、ネットオークションなどで検索をかければ、稀に出品があるようですが、かな
りのプレミアがついています。ENTEX海外版キットでは、さらに希少価値がありそうですね。
勿論、わたしの所有物ではなく、このレアキットをお持ちのオーナー様からのご依頼で製作さ
せていただいたものです。


スケールは70年代メジャーのひとつであった1/20サイズ。そして、やはり国内版はモータライ
ズ仕様(当時は本当にモーターライズ全勢でした。ラジコンブームにも連係)。今回のENTEX(海
外)版キットでは、モーターライズの部分のパーツが除去された内容になっています。


キットの感想としては、やはり昔の代物なので、スケールモデル的な精巧な造り・ディテール
と書くにはほど遠く、やはりモーターライズであることと、ボンネット、リヤボディ、ガルウ
イングの開閉ギミックで遊ぶことに重点を置いたような設計です。メッキパーツも意味なく多
いです。


車の外観で書けば、おなじみマグネシウムホイールや別成形の同センターロック、エンジンの
腰下、オイルサンプ、エキゾースト系、ワイパーなどがメッキパーツになっていますが、当時
このキットを買った子供たちは、接着できなくて悲しい思いをしたのではないでしょうか。(メ
ッキをちゃんと剥がさないとくっつかない)

否応なしに神経質な扱いが求められるクリヤーパーツも、マルツァルの場合、構成部品として
比率が多いし、子供が組んで完成させるには結構ハードルが高い内容ですね。


ちゃんと塗装までして仕上げたい人にとって残念なのは、デカールが付属していない点です。
エンブレムや各オーナメント、パネルメーター系は、デカールの代わりに凸彫刻されており、
手描き扱いとなります。昔のカーモデルは結構こんな体裁でしたね。ボンネット先端のエンブ
レムの造形はやたりでかい造りだし。

唯一いいなと関心したのは、ハニカムだらけのリヤベントのパーツ。メタル製で塗装済みでし
た。パーツの合いも取り付け方法も考えられていていい感じです。


今日的なカーモデルと比べるとややチープな印象も否定できませんが、当時としては結構な意
欲作のキットだったのかもしれません。








         


          パールホワイトで塗装したボディカラー。
          見る角度で白の色が変わります。











         


     特徴的な6連ヘッドライトは、イオディン・ランプを採用。










         


      カンパニョーロ製マグホイールは割と本物に充実な造形。
      ボディの開閉各パネルは、いまいちピタッと合いません。









          


     当時の4シーター車中、もっとも車高が低いとか。










         

         



       リヤボディカバー、このようにすぐ浮いて隙間ができます。
       接着できれば、ぴたっと本来の定位置に決まるのですが。
       ハニカム集合体のルーフベントの視界はわるくないらしい
       テールパイプの直上にあるのはオイルサンプのダミー装飾









キットを製作してみての所感など

昔のプラモデルもガレージキットも作るのは怖いです。
これまでたくさん扱ってきて散々身に染みているのに、また意識させられる堂々巡り。

初見ではわからず、予測してはいたものの、製作に入ってから完全に閉口してしまったのは、
ボディを構成するパネル(カウル)パーツの合いの悪さです。何度調整しても、結局だめでし
た。もともとの設計がアバウトなのか、左右でシンメトリーがとれていないのか、経年でボデ
ィパネル系の比較的大きなパーツが微妙に歪曲してしまっているのか。


とにかく、あちらを立てればこちらが立たずで、ボンネット、左右ガルウイング、リヤボデカ
バーの開閉とピラーが集まるセンターボディとの建て付け調整の両立は不可能でした。やんご
となく今回は、すべてを閉めた時の普通の車両状態で、いちばん目立つボンネットとガルウイ
ングドアの建て付け位置を優先し、リヤボディカバーは少々締りが悪いままになっています。

開閉式ではなく接着であれば、ぴたっと決まるのですが。これ以上、強引に各パネルパーツを
加工・調整すると、古いキットだけにすぐ破損トラブルを招きそうなので、適当なところでス
トップしています。


そして今回最大の惨事となったのが、クリヤーパーツの亀裂です。ドアガラスとなるクリヤー
パーツですが、コンパウンドで磨く以前に、手で持つと微細なヒビが入ってしまいました。経
年で脆くなっていたのでしょうか。

この時点でもう使えません。昔のレアキットなので、代わりのキットもありません、パーツ購
入もできません。(汗)


仕方がないので、ドア回りは左右計4枚のクリヤーパーツとも自らサイジングをして、塩ビ製ク
リヤー板からちまちまウインドウを造り起こしました。この手の技術は、平面相手ではないの
で難しく、時間もかかりますが、以前にもやったことがあるので慣れています。かえって、ゴ
テゴテと接着点ステーが設けられたキットのウインドウ用クリヤーパーツより、薄くきれいに
仕上がったと思います。



マルツァルの塗装・仕上げについて。
実は、ショーモデルであったランボルギーニ・マルツァルのボディや内装が、実際に何色で塗
装されていたのかは、今となっては定かではありません。無論、当時撮影されたカラー写真な
どもいろいろと残されてはいますが、展示会屋内の他、屋外で撮影されたパターンもあり、車
両の仕様も2パターンあるようです。

両者は、フロントウインドウのシェードや車内のカラー、ハンドルスポークのデザイン、エキ
ゾーストテールパイプなどの形状が違うので簡単に判明できます。同じ車両が換装されたもの
なのか、それとも複数台存在するのか・・・。


もとい。それでご依頼主様と相談した上で、マルツァルの斬新で未来的なイメージ優先でカラ
ーリングを決めています、ある程度お任せいただいて。

ボディカラーは、パールホワイトです。ピュアホワイトの上からホワイトパールクリヤーをオ
ンコート。その後、ツヤ出し用のクリヤーを4コートしています。パール顔料をハイコンク(高
濃度)に設定しているので、見る角度によって、色目の演色性がわかりやすいです。

それから、コンパウンド磨きとワックスをかけています。1/20スケールなのでやりがいありま
すね。旧キットのパーツはいろいろ怖いので、今回研ぎ出しはやっていません。


ボディでセパレート(2トーン)カラーになっている、サイドシルラインからシャーシにかけての
セカンドカラーは、アイアンメタリックシルバーです。あとは、イタリアン・エキゾチックカ
ーにはお約束の色遣い、フラットブラックをあちこち。


車内は、ギンギラのメッキ風やファインシルバーが基本。ショー展示の現車でもシートまでメ
ッキに近い眩しい銀でしたので。ダッシュパネル、コンソールなどはミディアムブルー。ハニ
カムデザインの細かい色塗り分けは、当時のカラー写真を参考にしました。デザイン的に洗練
されているので、塗り分け作業は楽しいです。


キットには付属していないものの、ランボルギーニのエンブレムは、デカールが欲しいとこ
ろ。手描きの覚悟でしたが、ご依頼主様の方で市販のデカールをご用意くださいました。おな
じみ黒地に金 をあしらった高級感のある闘牛(ファイティング・ブル)マークを、ボンネットと
ハンドルホーンとシフトノブに使って貼っています。


ダッシュとコンソールにたくさん並ぶメーター類については、当方で適当なカーモデル用デカ
ールメーターを買ってきて、半円にカットしたりして貼って使っています。メーターデカール
を貼った後は、ガラスカバーの雰囲気に合わせてクリヤーをたっぷりコートしています。


フェンダーサイドにレイアウトされるおなじみのベルトーネのオーナメント(マーク)は、マス
キングによるシルバーメタリック塗装で。リヤガーニッシュのマルツァルのマークなどは手描
きです。

クリヤーパーツ製品のヘッドランプ、リヤンビネーションランプは、着色の後、光るように裏
に反射処理をしてあります。メッキパーツのマフラーは穴があいておらずただの棒パーツだっ
たので、ピンバイスで開口しています。









          


ダッシュパネル その1
裏がスカスカでかなしい。









          


ダッシュパネル その2
ドライバーから見て正面の大きなメーターは、左が10,000rpm回転計、
右が300km/hの速度計。小さいメーターは時計、燃料、水温、油圧。









          


ダッシュパネル その3
ベルトーネのマークが見えます。
シフトノブにも闘牛のマーク。









          


エンジン部位は、ヘッド周辺だけ適当に造形されています。
フロント側は元は電池ボックスで、このキットでは空っぽ。











          


シャーシはいつものバンダイエックスポーズがでかでかと。



               投稿者: K                                    No コメント