IIIKのモデラー三昧なフロク

  これまでに完成させた作品です。
  このページは、「巨神ゴーグ」の模型ならびにそのアニメを紹介しています。







         テーマ: 巨神ゴーグ
         日時: 2016年1月24日

オウストラルの守護神
タカラ 1/100 SAK  巨神ゴーグ & オウストラル・レポート




            


                     きみは・・・  誰・・・?   






      


                改造180mm砲装備のバージョン





■3万年の時を超えた「ゼノンの遺産」

「ドークスガーディアン・レベル21 ゼノンタイプ」
完成しました。小スケールのキットなので1週間あれば・・・と思っていましたが、案の定
ずるずると製作が伸びてしまうという。


やはり世間的にはマイナーな作品なのか、なかなかストーリーの方について話し合える人
が見つかりません。さて、「ゴーグ」のデザインについて。

敬愛して止まないキャラクターアーティスト、安彦良和先生がデザインされた「ドークス
ガーディアン」(ゴーグとかマノンタイプとかラブルタイプとか)のキット製作は、正直
愉しかったです。


普段、扱っているメカキャラが大河原邦男先生をはじめとするカクカク系デザインがとて
も多いわたし。ドークスガーディアンのように曲線ばかりのメカは、とらえどころが難し
く、製作中はその意匠の意味を味わうようにとりかかっていました。オーラーバトラーと
もまた違った有機的な感覚です。

不思議デザインなんですよね。実は、初代のバトロイド・バルキリーと四肢の基本形状が
似通っていたりします。


当時から現在に通じる評価軸として個人的に注目している点は、ゴーグの指です。この時
代で、すでに各指の先端がナナメにスパッとカットされた粋な形状にデザインされていま
す。ジオン系のモビルスーツの手首がオーソリティのデザインなどではないのです。いや
はや、安彦先生はグレートです。


オーラーバトラーだと、搭乗者のオーラ力で動く仕組みですが、ドークス(ラブル)ガー
ディアンの動力源はどうなっているのでしょう。これも不思議です。

またマノンタイプは異性人のマノン(兄)さんが直接操縦していましたが、ゴーグは3万年
前の主(あるじ)であるゼノン(弟)さんの残留思念を自らの意思として行動指針にする
いわば「ロボット」。

ゼノンさんの遺伝大隔世・子孫である、主人公の田神悠宇とゴーグが交感できるのも、素
直にハイそうですか、という部分。


ところでゴーグって、頭部にお立ち台があるのですが、あれって実際にあそこに立つのは
恐ろしく勇気がいるでしょうね。手すりの腰位置も低いですし。ちょっとでもゴーグが激
しい動きをしたら、あっさり振り落とされそう。(滝汗

しかも、ゴーグの上半身内部には、頭部のお立ち台から胸部の左右にあるコクピットへつ
ながるパイプシューター通路があるわけですから、実質ゴーグの頭部の構造はすっからか
ん?


あと、ロボメカオタとしては、ドークスガーディアン、ゴーグ(ゼノンタイプ)やマノン
タイプに使用されている装甲の素材がても気になります。マジンガーZなら「超合金
Z」、ガンダムなら「ルナ・チタニウム」、ガリアンなら「ガリオネット」とか。とにか
く、ゴーグの場合、装甲がモーターヘッド並に覆いかぶさるデザインなので、硬くても弾
性変形の性質をもつ素材が要求される気がします。


曲がる特殊な金属なのか、それとも硬質な樹脂のようなモノなのか。ルーツは埴輪系の意
匠という感じもするので、雰囲気的にはセラミックというのも似合いそうです。でも劇中
のゴーグ解体シーンを拝見するとダイヤより硬いんですよね。まあ、ダイヤモンドはトン
カチでも破砕できますが。


戦闘(護衛)用とはいえ、もともと携帯武器はもたず、空も飛べない、格闘オンリーのゴ
ーグ。鉄人28号より不器用さんなのです。ロボアニメ史上まれにみるストイックな機能
美。つまり、大昔の映画『キングコング』みたく、原点回帰の存在なんですよね。


そのゴーグが似合う姿(絵)って、頭と両手の平に悠宇やドリス、アロイ、サラ、Dr.ウェ
イブ、村長さん、そしてあのしたたかな船長などを、こぼれんばかりに乗せている「幸せ
で賑やかな画」なのです、きっと。






                 


         後姿もまとまりがあって素晴らしいデザイン。







             


          こういう構図とポーズ、たまりません。
          球体関節への改造の成果がでてます。  









               


        いいアングルなのに、左肩の隙間とじるの忘れました。






■SAK ゴーグ製作の所感

「SAK」とは、かつてのタカラのスケール・アニメ・キットの略称。
スケールモデルに匹敵するディテール、リアル感を盛り込んだキットのイメージ。この
SAKを自分はこれまで何体組んだでしょう。一般モデラーでは、大阪で一番沢山製作して
いるかもしれません。


今回の「ゴーグ」は、一言で書くと「普通にむずかしい」キットでした。ゴーグ自体、作
例が少ないので、キットの完成見本写真や、過去のHJエクストラ(別冊)、そしてやはり
デュアルマガジンの作例などを拝見しつつ・・・製作へと。


放映当時もこのキットを手に入れ、素組みしたような記憶があるような気がします。で
も、組立てだけで、塗装はまずしていないでしょう。

その頃の自分でしたら、きっと筆塗りでベタベタの筆ムラで、装飾ラインもはみ出しまく
りになる予感で一杯になったはずでしょうから、色塗りそのものを避けたはずです。デュ
アルマガジンの作例も、結構すごいことになっておりますが(汗


それから先にデカールのこと。今回、胸部のアクセントになっている赤色の箇所と両肩の
金色の三角マークのところのみ、無理やり使用していますが・・・ この頃のタカラのキ
ットを製作する人はご注意を。一筋縄では使えませぬ。


組み立て工程までは、製作レポートに記述しているので、話題を塗装のことにしましょ
う。

これ見よがしにモデラー泣かせな、全身の装飾ラインの塗装にちょっとばかし苦労させら
れます。作例では筆塗りです。筆ムラに注意して極細面相筆でササッと塗っていきます。
塗装前にあらかじめ、スジ彫りを彫りなおしておくと、筆塗りのミス・はみ出しが防げ
て、きれいなラインになりますよ。(DM風解説 笑


全身の紺色ラインは、ロイヤルブルーとブラックの混色です。頭部や首周りの金色はゴー
ルドリーフ(本物ではなく)です。ゴールドのラインは、首周りのカラー(えり)の極小
の模様を描くのがつらいですね。


マイルドな表情だったので、ちょっと精悍になるよういじったご尊顔。よくみたらインデ
ィアンぽいお顔なんですよね。瞳は白地にピンクのブレンディングにしています。小さす
ぎて見えませんが。


全体の青の塗装は、前回作ったザブングルの残りカラー・・・ではなく、ちゃんと新規で
用意したインディブルーをベースにした割と濃い青色です。ゴーグって、ザブングルとか
と比べて、ちょっと謎めいて、それでいて不気味さも加味したような深い青色の方が似合
うと思うのです。

基本的に青一色の容姿なので、明暗のグラデーション塗装を検討しましたが、基本の青が
わずかに濁るので却下。


そこで、ゴーグの躯体の全身のエッジだけ、ドライブラシがかかったようにハイライト効
果がでるオリジナル考案の塗装法で今回やってみました。効果の程は、足のツマ先とか観
ていただければわかると思うのですが。非常にエアブラシ運びが難しく失敗しやすい塗装
法なので、よいこは絶対に真似しないでください。


ゴーグ専用の180mm砲は、オリーブドラブとカーキとホワイトによる調色カラーで塗装し
ています。スミイレは、ゴーグともどもと温かみと地上属性をもたせるためにブラウン系
を使っています。キットのパーツはゴーグ用に付けられた発射ボタンが設定と違っていま
すが、ご愛嬌ということで。


そして今回苦慮したのが、付属の田神 悠宇のお人形さん。
とにかく、子供なのに体重80kgはありそうな、やる気のない造形。チマチマとデザインナ
イフで全身の3分の2くらい削って削って・・・ なんとか見れるところまでもっていって塗
装に。

ポーズ変更やらの改造はとくにしていませんが、サファリルックの帽子のツバが造形され
ていなかったので、極薄のプラ板を湾曲させて、でっち上げています。


安彦先生の描くキャラクターのすごいところは、その服装も挙げられます。悠宇やドリス
のサファリルックのデザインもカラーリングも秀逸ですが、劇中何度もお遊びでコスチュ
ームチェンジしているのですから。

本当に凝った本格アニメだったんですよね。






             


          ダイノソアひっくり返し名シーンのパロディ。







      


         おまけの2ショット。同スケールのはずなのに・・・
         タカラのSAK(スケールアニメキット)に栄光あれ!















    ー ここからキットの製作レポートです ー






  -柔らかいメカポーズこそ安彦メカの真骨頂 -



               


      

■拝啓 ウェイブ博士へ

巨神ゴーグの製作に入りました。いつまでも画餅にはしておけません。

この作品は、知名度も人気度も非常に低いですが、純然たる100%安彦TVアニメということ
で、絵画的映像クオリティの高さとクセのあるアニメシーョンの醍醐味は、現在過去未来どん
なアニメ作品も凌駕することはないかもしれません。

隠れた名作というやつなのですね。

すみません。プラモの話をしましょう。
なぜか変な先入観があって、「タカラ製のゴーグのキットはよくないデキ」という印象があっ
たのですが、どうしてどうして、立派なモンです。

家の在庫キットの箱を開けて、ちゃんと組み立て説明書やパーツを確認すると、「これは、い
いんでないかい?」と、あいなったわけです。


安彦良和先生の手による、自然で抑揚のある曲線主体の美しい意匠をしたゴーグに対して、タ
カラ製1/100ゴーグは四肢がどうもカクカクとした形状で設定画に忠実ではありません。


しかし、コスト面などを考慮すると、かなり当時のタカラさんががんばって造形・製品化され
ているのが、如実に伝わってくる佳キットなのだと感じさせられます。

実際、ゴーグのアイデンティティともいえる全身グネグネしたライン取りのデザインは、ちょ
っとやそっとでは立体で表現するのは困難なわけですし。


いつかは作るだろう、という思いのあったゴーグ。
上の理由で、コトブキヤさんなどの過去の同スケールのガレキを探して勝負するか、という思
惑がずっと頭の隅にあったので、思わぬ幸運なのです。プラモが使えるというのは。







                   


         素立ちポーズも自然に。意外と難しいです。
         装甲を付ければ、それらしく見えるでしょう。






■遺跡文明プラモの料理のしかた

製作における改修点などについて。
タカラ・ゴーグのいいところは、プロポーションでしょうか。12頭身バランスにしても、腕や
足の長さも及第点で、個人的にはいじる必要はなさそうと判断しました。


一方で、ちょっと残念に思うのは、ご尊顔がアニメの威風堂々たる巨神イメージに対して、マ
イルドな表情ということ。明らかに目の周りの造形が間が抜けています。ここは瞳のディテー
ルを精密にしたり、ヘルメットを下ろすなどの位置調整で、グッとよくなるはず。

外観ではあと、腰周りのボリュームが小さくまとまりすぎているのと、足首のパーツが偏平足
な造形になってしまっていることが気になるくらいです。


腰周りは、後述する四肢のボールジョイント・アクション化に伴い、フトモモを持ち上げられ
るようにしたいので、一体成形の腰ユニットパーツから左右側の大きな装甲をモデリングソー
で切り離して、フレキシブルなジョイント構造にして劇中の暴れアクションポーズが可能にし
てあげます。

ソール(足首)パーツは、接着面であらかじめ2mmの幅詰めをしてから接着するだけです。
そして、やはり旧キットなので、全身は後ハメ加工をしてあげなければ塗装に苦慮しそうで
す。


また、最大のネックは、デザイン上の制約といっても過言ではありませんが、四肢が装甲など
に邪魔されて、ほとんど動かないということ。またすべて昔の軸式関節ギミックなので、不自
然なポージングにしかならないということ。ここは、ボールジョイントに換装してあげましょ


自然なポージングに不可欠な部位として、首、肩、手首、腰、股、足首をボールジョイント式
に改造します。とくに足首については、スネパーツのスソが伸びているデザインのため、ボー
ルジョイント関節にしても、つっかえてあまり動きません。

これでは、接地性に問題がでてきますので、今回は足首用にだけアレータイプのダブルボール
ジョイント軸(画像参照)を作って組み付けて、足首関節軸位置を任意にスライドできる構造
にします。

締めは、手首パーツを、やはり市販品のハイディテール・マニピュレーターに変更ですね。


・・・とまあ、こんなメニューなのですが。
1/100スケールといっても、ゴーグの設定全高は13.5m。つまり、ガンプラでいえば1/144ク
ラスのキット。製作の仕事量としては、そんなに大変ではありません。感覚としては、1/100
スケールのガリアンを作った時とよく似ています。


この頃のタカラのキットは、自分でも驚くほど沢山扱ってきているので、勝手知ったるなんと
やら。後ハメも目をつぶっていてもわかるぐらい構造が読みとれます(笑

現在の所、組み立てと関節仕込み、パーツの表面処理、そしてケガキまで済んだところ。胸部
のコクピット開閉ユニットなどの大切なモールドが割愛されているので、フリーハンドでコツ
コツと地味に掘り起こしておきます。やはり、いつもここで時間が食われてしまいます。


以降、サフ吹き・塗装へと入っていきます。塗装は全身に入っている装飾ラインが曲者そうで
すね。どうやって美しく、あの装飾ラインを引けるか・・・


そうそう、このキット最大の難所は、付属の田神 悠宇のお人形さんかもしれません。とんでも
なく肥満体型なのです。デザインナイフで精密彫刻してスリムに。







               


                これで製作レポートは終わりです。














     - AUSTRAL Report -

     意志をもつ寡黙な巨神という原点回帰
  満を持して放映された安彦良和監督の傑作冒険アニメ




                   




■リアルタイム視聴者Kの独白

「♪ゴーグ 過去と未来のー とびらをひらくー」
未開の地の南の島でのSF冒険アニメーション。安彦アニメーション全開モードのオープニング
曲の印象がつよい『巨神ゴーグ』。

1984年の放送当時、リアルタイムで視聴されていた方でも、「ストーリーの方はあまり記憶に
ない」という人がほとんどではないでしょうか。


それでもやはり、キャラクターデザイナーにして漫画家兼クリエイターの巨匠、安彦良和先生
が原作から演出、デザインまでオールマイティにその才能を遺憾なく発揮した唯一のテレビア
ニメが『巨神ゴーグ』。


満を持して(放映開始が当初の発表より延期された)放映された作品だけに、その作画レベル
とアニメーションの動き、ストーリーの巧みさは毎回、刮目すべきものがありました。








             


■異色のロボットアニメ

この作品は、先述の通り、当時のロボアニメとしてはちょっと変わった扱いでした。
というのも、1984年4月からの2クールの放映でしたが、それと連動するようにOVA(オリジ
ナル・ビデオ・アニメ)がビクターから発売されたのです。当時、アニメ業界では「新しいロ
ボットアニメ(市場)の流れを作るのでは」と期待されましたが、ビデオはそんなに売れてい
た印象はありません。


2クールのテレビ放送を、ビデオ5巻に振り分けて発売されたのですが、そのOVA1巻当たりの
値段が11,800円。そりゃ高い。現在でこそ、映画モノでも定価3,000〜5,000円のビデオや
DVDソフトが当たり前になっていますが、当時のビデオソフト商品はみーんなこんな価格帯で
した。


なになに? OVAで最初にやった『ダロス』や『グリード』が悪い? いやいや、ビデオソフト
制作会社の方からすれば、これぐらいの定価設定でないと、ペイできなかったのでしょう。そ
んなに売れる商品でもないし。ビデオソフトは昔はニッチな商品扱いだったのです。


この『巨神ゴーグ』が放映された頃は、すでにレンタルビデオ店乱立の時代。家庭用ビデオデ
ッキも普及していましたから、ビデオソフト購入の潜在市場は、レンタル分野に食われてしま
ったことになります。








冒険の舞台は、謎の島「オウストラル」

では、高品質映像にしてストーリーのテンポが抜群によかった、この『巨神ゴーグ』の簡単な
内容説明をしましょう。


舞台は現代の地球。TV放送時が1984年ですが、実際のストーリーはその時点より10年ほど先
の近未来となっていました。南太平洋に浮かぶ「オウストラル島」は、大昔に一度は水没し、
再び浮上したという謎に満ちた島・・・


その島の研究半ばにして逝去した田神博士の一人息子、田神 悠宇(13歳)がこの物語の主人公
です。悠宇は、父が亡くなった後、父の研究仲間であり友人だったDr.ウェイブを訪ねて、日本
から単身ニューヨークへと出向きます。

そして、Dr.ウェイブ、その博士の妹ドリスと愛犬アルゴス、博士の知り合いの謎の屈強な男、
船長とともに「オウストル島」への冒険が始まることに。


一方で、この島に隠されたわけがわからないほど凄そうな古代の?秘密をめぐって、米国政府
にさえも意見力をもつ巨大組織「GAIL」(ガイル)は、数年前からすでにこの島にガイルの基
地を建設し、島の開発・探索・研究を着々と進めていました。


目的のためなら悪事にも手を染める一大コングロマリット、ガイルは、その島の遺産を手中に
収めるため、各国の政府と交渉し、世界地図上からこの島を末梢さえしていました。

劇中では、いわばこの島はガイルの所有物という状況になっています。この抹消行為の中に
は、島の研究を続けていた田神博士の殺害も含まれており、悠宇とガイルは因縁関係にもあり
ます。


当然、Dr.ウェイブも命をねらわれ、ニューヨークから逃げ出すようにオウストラル島に向かう
のでした。悠宇たち一行は、ガイル警備の目を盗みつつオウストラル島に潜入し、Dr.ウェイブ
の研究実績を頼りに、島の謎に迫るための探検を始めます。


ここに、ガイルとなにやら因縁をもつお色気女ボス、レイディ・リンクス率いるマフィア「ク
ーガー・コネクション」、もともと島に居ついた原住民のパルチザンたちも参入し、ストーリ
ーは各グループ入り乱れた形での展開になっていきます。

かといってストーリーテラーが巧みで非常にわかりやすい内容です。そして、オウストラル島
の信じられないような神秘の謎が、少しずつ解き明かされていきます。


どうやら、この島には、1万年前に沈んだとされるアトランティス大陸にかかわる何か、もしく
は、かつてこの島にいたと推測される異星人の遺跡が隠されている、という話しですが・・・


ね? こう読んでいるだけでも、ゾクゾク・ワクワクするような冒険譚の予感がしますよね!






              



■意志をもったロボット、ゴーグ

さて、メカの主役である「ゴーグ」について。
放映当時のロボアニメでは珍しく、なかなか本編に登場しない存在でした。『ダグラム』なん
かもそういう凝った演出でしたね。ゴーグが本編に登場するのは、第4話「出会い」の回から。


島に向かう途中に船が沈没して、皆とはぐれて独り島の浜辺に打ち上げられた悠宇が、偶然か
必然か、ピンチを救ってもらう形で遭遇した、「優しい目の輝きをした、青い巨人」。身長は
10メートルを超し、ロボットのようです。それが「ゴーグ」でした。


ゴーグは意思をもった存在で、以降つねに悠宇と行動をともにするようになります。また彼を
ガイルの攻撃などから守り、そしてオウストラル島のある場所へと悠宇たち一行を導いていく
「道先案内人らしい」行動をとっていくことになります・・・。


勘違いしている人も多いと思いますが、「ロボット」とは鉄腕アトムのように自らの(電子)
頭脳により、自我と意志をもつ機械のことをいうのが正論だと思います。したがって、「鉄人
28号」以降の「マジンガーZ」や「ガンダム」など、誰かが操縦する人型のメカは、ロボット
というより「機械」や「兵器」という表現が正しいのではないでしょうか。


劇中ではこの、なぜゴーグが意思をもっているのか、そして主人公の田神 悠宇少年だけがなぜ
ゴーグと意思疎通(交感)ができるのか、が物語の大きな伏線というかポイントになっていま
す。まあ、種明かしは、実際にご覧になられるのが一番かと思います。


このゴーグというロボットは、当時数多くあったリアルロボアニメの中でも、非常に原点回帰
な要素を踏まえていて、一切の飛び道具を持っていません。そして空も飛べません。


したがって、軍隊の戦車や戦闘ヘリなどとの交戦は、ほとんどが格闘オンリーです。戦闘機や
戦闘ヘリに対する攻撃は、時には捕まえた戦闘機の主翼部分をもぎ取り、豪快にブーメランの
ごとく投擲する名シーンも・・・ 鉄人28号以上にストイックな装備ナシのゴーグですが、そ
の代わり、その怪力と謎のセラミック装甲の頑強さは目を見張るものがあります。


劇中、ゴーグはガイルの軍隊から、何度も何度もミサイル等を含めた総攻撃を加えられたり
(このアクションシーンの数々の巧みな演出は圧巻)、活火山のマグマにのまれたり、一時ガ
イルに捕獲され解体調査のためダイヤモンドドリルを当てられたりするわけですが、一度たり
とも損傷しないというスバ抜けた頑丈さです。

(ちなみにゴーグの関節部分は実はすべて外と遮断・密閉されていて一切の隙間がない。可動
時は装甲が可塑性になっている関節部分がたわむ構造らしい)


異星人のオーバーテクノロジーで建造されたロボットなので、当然といえば当然なのですが、
優しい中にも鬼神のような強さが表現されている感じでしょうか。

飛び道具がなくても、戦闘シーンはまず退屈することはありません。格闘オンリーのアクショ
ンシーンの方が、ダイナミックでドラスティックな絵になるとの、安彦監督の思惑・公算さえ
感じさせられます。















                 (以降、ネタバレにご注意。)














     

赤線・・・ゴーグ、悠宇たちの進路
A・・・旧オウストラル島        B・・・ゴーグ出現地点の第3火口
C・・・ガイル前線基地「海坊主の砦」  D・・・化け物がいる「ダークベイ」  
E・・・湿緑地帯「グリーンマット」   F・・・ゴーグの目的地「馬の鞍」
G・・・ガイルの「石油基地」      H・・・「ガイルタウン」




■見どころ満載とオウストラル島めぐり

『巨神ゴーグ』の見どころは、語りだすと枚挙に暇がありません。
柔らかく抑揚のある線で描かれた安彦キャラのアニメの美しさと独特のムービング効果、芸術
性が理想的な形で昇華されていることを始め、ストーリー構成がしっかり作られた2クール(全
26話)の作品というのが、視聴者に心地よいテンポを感じさせます。


作画の品質は序盤からハイレベルですが、だんだんと制作スタッフも作画に慣れてきたのか、2
クールに入る頃はまるで毎回映画のアニメを拝見しているような凝った映像で豪勢な気持ちに
させてくれます。


主人公たちのほか、数多くの脇役キャラクターの個性も、きらりと光る演出が多く、毎回濃い
演出が展開されます。悠宇たちの実質的な敵役であるガイル組織のオウストラル支社長、ロッ
ド・バルボア(ガイル会長の孫)のC.V.は、あの池田秀一氏。


あの独特のシャア節(口調)が毎回のように惜しげもなく彼の口から吐きだされます。今でこ
そ忘れ去られてしまったキャラですが、はっきりいって、その威風堂々とした立ち居振る舞い
(生意気なだけ?)は、シャアよりかっこいいかもしれません。


それから、安彦氏自身による主役のゴーグのデザインの秀逸さはいうまでもありませんが、必
然的に現代兵器とゴーグを戦わせる都合上、ガイルの軍隊に配備されているメカニックとして
の、現用戦闘ヘリ、輸送ヘリ、メルカバ戦車などがこれでもかというほどの凝ったアニメーシ
ョンで活躍する場面も多く、大人の鑑賞に堪える内容です。


ガイル・オリジナルメカの4脚歩行型歩行掘削機「ダイノソア」や「メルカバ93型エクスワイ
ヤー」は、当時の日本サンライズに入社したての永野 護氏が手がけたことでも有名ですね。


この作品を最後までちゃんと視聴された人は、きっと誰もが感じることですが、もう毎回目が
離せないこと請け合いです。

物語が進むにつれ、クライマックスに向かうにつれ、ものすごいボルテージでオウストラルの
秘密が観ている人にハラハラドキドキとどんどん迫ってきて、最終回まで高揚した気分のま
ま、畳みかけるように進行していきます。終盤の5話は息着く暇もないほどの圧巻の連続なので
す。



また、謎の島を実際に探検しているような気分になれるのも、この作品の奥深いところ。
オウストラルは、昔から存在する小さな「旧島」と、1980年代の火山噴火による地殻変動で隆
起・再浮上した「新島」に分かれる。旧島・新島合わせると外周で軽く100kmはありそうな
島。


そしてこの、ガイルに人為的に世界から隠蔽されることになった新島一体こそが、1万年前は大
洋上に浮かんでいたとされる、ミステリー擁する真のオウストラルと呼べる部分なのです。

悠宇たち主人公一行は、まず旧島付近に漂着し、ゴーグと出会い、この巨神が目指す目的地へ
と、ちょうど新島を東端から西端まで縦断していくことになります。これがもう、とっても川
口ヒロシさんの水曜スペシャル的で。


旧島ではガイルと反発しあう原住民たちと出会い → 新島のカルスト台地に鎮座する「海坊
主」と称されるガイルの天然岩山を利用した前線基地でゴーグと大規模な戦闘を繰り広げ →
 結局、ガイルの軍隊から逃れるため何キロにも及ぶ「地下洞窟」へ潜り込み(洞窟内で登場
する変態型オオサンショウウオや巨大白ミミズの群れがなかなか気持ちわるいです) → 
「ダークベイ」と呼ばれる薄暗い湾岸ではクラゲの化け物(実は異星人が残したと思われる島
のガードメカ)に襲われ → 「グリーンマット」と呼ばれる湿緑地帯では川づたいに進行し
ている中でクーガーコネクションに襲撃され → ついにゴーグが目的地としていた「馬の
鞍」と呼ばれる山の稜線がちょうど馬の背のように窪んでいる場所へと到達します。


はたして、ここでゴーグが悠宇に見せたかったものは何なのか 何が待ち受けているの
か・・・ そして、悠宇と「異文明」との接触は、ガイルにもその秘密を露呈する顛末にな
り、全島は神の怒りに震える事態へと巻き込まれていきます。物語は、収拾のつかない事態へ
と発展していき、そして・・・ あとはご覧になってのお愉しみですね♪


こんなに冒険と娯楽と興奮が一杯に詰まったリアルロボットアニメは、後にも先にもないでし
ょうね。リアルロボットアニメの黄金時代に奇跡的に制作されたマスターピース、それが『巨
神ゴーグ』だと思います。





               投稿者: K                                    No コメント