IIIKのモデラー三昧なフロク


  このページは、80年代のロボアニメ『聖戦士ダンバイン』の模型などを紹介しています。







         テーマ:  ダンバイン
         日時: 2016年2月14日

聖戦士の挺身
Aura Battler ゲド・ツォウ(ベースキット MG 1/35 ダンバイン)



      


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■ゲド・ツォウ(アーバイン)について

それゆえにミ・フェラリオの伝えるバイストン・ウェルの物語を伝えよう・・・
語り部は、ノット・ミ・フェラリオのモデラーK。

すべてのオーラバトラーの基盤となった「ゲド」。
そのゲドを範として、重装甲・固定武装タイプの「ドラムロ」、高機動・性能変動タイプの
「ダンバイン」が生まれ(ダーナ・オシーは傍流です)、そこから多岐にわたるオーラバトラ
ー各タイプへと派生していきました。


「ゲド・ツォウ」はバイストン・ウェルの公の史実に残っていませんが、プロトタイプ・ダン
バインとして、すべてのオーラマシンの父、ショット・ウェポンに製造された試作オーラバト
ラーのひとつです。つまり、ゲドとダンバインの中間に位置する試作オーラバトラー。


装甲はすでにゲドのそれでなく、後に建造されるダンバインの鎧型が全面的に採用されていま
す。ゲドでは、まだ乱獲されて絶滅寸前にまで追いやられる以前のキマイ・ラグの甲殻がほぼ
そのまま使われていました。

このゲド・ツォウ、ドラムロ、ダンバイン製造の頃からは、キマイ・ラグより硬い強獣ガッダ
ーや水棲獣グラバスの甲殻が積極的に使用されています。キマイ・ラグ1匹とガッダー1匹で、
約4騎のオーラバトラー建造が可能といわれています。


ショット・ウェポンがゲドを開発したころは、ちょうどバイストン・ウェルのアの国におい
て、地の国(ポッブ・レッス)のフェンダパイル辺りよりあふれでたガロウ・ランたちが強獣
を麻薬で操つり、コモンの人々の暮らしを脅かす異常な事態が頻繁におこっていました。


若輩のまま堕落した、世の理について定見のないフラオン・エルフ王に代わり、一地方領主で
あるドレイク・ルフトは、まずオーラバトラー・ゲドの完成をもって、大義名分の上でアの国
から奸賊であるガロウ・ランの討伐にのりだしたのでした。


ゲド・ツォウも表向きには、この目的をおびて開発されたオーラバトラーです。
ガロウ・ランが操るルグウなどの凶暴な強獣をしとめるため、オーラバトラー初の飛び道具と
して強力無比な弓と矢を装備しています。


この弓と矢は、アの国の名だたる弓匠が何人もラース・ワウの城に召集され、半月を要して扱
(しご)かれた業物です。素材は、クスタンガの麓にある巨大な霊樹から削りだされ、弦には
エ・フェラリオの長髪が幾重にも束ねられた絶対に切れない綾綱が用いられています。


この弓(アーチ)を装備する由来などから、このオーラバトラーは所期の計画で「アーバイ
ン」という名称がつけられていましたが、完成後ショットがその性能に満足できず失敗作と位
置づけしたため、強化型ゲドであるゲド・ツォウという名称に落ち着いたといわれています。
(ツォウとは地上の言葉で2を意味します。)


ショット・ウェポンが目指していたアーバインとは、強いオーラ力をもつ地上人(いわゆる聖
戦士)が搭乗・操縦することによって、騎体性能向上の傾向が顕現するオーラバトラーのこと
をさします。しかし、このゲド・ツォウのオーラ係数や必要オーラ力をはじめとする性能は、
残念ながらゲド旧態依然の数値(オーラ係数0.78、必要オーラ力13オーラ)を示す結果となっ
たため、一騎のみの製造となりました。


ショットが求めた、無限の可能性を秘めたオーラバトラーの存在と立証は、つきのダンバイン
開発と、エ・フェラリオのシルキー・マウによって呼び寄せられた地上人 座間 祥の登場まで待
たなければなりません。


なお、このゲド・ツォウは、ドレイク麾下(きか)の筆頭騎士バーン・バニングスの操縦によ
って、幾度かガロウ・ランの撃退や強獣の狩猟に出撃していた記録がありますが、ラース・ワ
ウの城地下深くに封印され、稼働することはありませんでした。


それゆえに後の、エ・フェラリオの長であるジャコバ・アオンが決死の覚悟で行なったすべて
のオーラマシンをバイストン・ウェルから一掃排除した業の際も、その対象から逃れることと
なりました。

(この理由は、ラース・ワウの城壁の一部に、フェラリオの霊力を封印する結界の印が描かれて
いたため) ゲド・ツォウは20年を経た今も、これらの画像の通りラース・ワウ城の地下深くで
眠りつづけていると語り継がれています。






       










      









■ゲド・ツォウと最初の聖戦士

ゲド・ツォウが完成する少し前、ショット・ウェポンの進言により、ドレイク・ルフトは当時
ラース・ワウの水牢に幽閉していたエ・フェラリオのナックル・ビーに命じて、満月の夜(実
際は天の海の深海魚による燐輝の集合現象)にオーラロードを展き、最初の聖戦士となるべく
強力なオーラ力をもつ地上人を召還します。


そうして紅く艶やかな燐の輝きとともに堕ちてきたのが、マーベル・フローズンという名前の
アメリカ・テキサス州の女学生でした。

独自の胆力と正義感に長ける彼女は、ラース・ワウ滞在の半月でドレイクが成そうとしている
権勢力欲にとりつかれた悪行の目論見を見抜き、ドレイク領と隣接する領主ギブン家へと脱走
します。

その後日、ギブン家の嫡子ニー・ギブンの働きによって、ドレイクとショットは幽閉していた
ナックル・ビーまで略奪されることになり、事実上アーバインの操縦者として想定していた地
上人(聖戦士)の確保ができなくなったといわれています。


この時代において、幸か不幸か最初の「聖戦士」となったマーベル・フローズンが、ドレイク
家の軍隊においてゲド・ツォウを含めた何らかのオーラマシンを戦闘で操縦したという事実
は、記録に残されていません。



(注釈 この頃の、聖戦士の定義は漠然としたもので、オーラロードにのって堕ちてきた地上
人の戦士を、お追従の意味も含めて指す別称にもなっています。

しかし、本来(由来)はこの時代より溯ること6,500年前にバイストン・ウェルを二分するか
の大戦が巻き起こった際、わすが13歳の少年ゼノラーが伝説のリーンの翼をその背に顕現さ
せ、戦いの元凶であった5つの国の主君と、影からそれらを操っていたとされるカ・オスと直結
する奸賊を撃ち滅ぼし、世を平定したことによる尊大な称号として与えられたものだとされて
います。


座間 祥やマーベル・フローズンたち地上人がバイストン・ウェル西方のアの国にやってきた時
代より約20年前には、はるか東方でまた別の大きな戦乱が起こり、メウの国に堕り立った地上
人が、両足にリーン翼を顕現し聖戦士となったとされています。


座間 祥についてはリーンの翼こそ顕現しませんでしたが、多島海ガバの島付近における戦闘の
際、モーゼと同じく「海を割った奇蹟」をおこしています。これはエ・フェラリオの中で最も
霊力の強いジャコバ・アオンにしかできないほどの業であり、この奇蹟によって座間 祥は、直
近の聖戦士では最も有名な人物とされています。


この通り、バイストン・ウェルの世が乱れる時、必ずといっていいほど真の聖戦士が現れ、世
を平定するという言い伝えがあります。これをバイストン・ウェルでは「聖戦士の挺身」とい
っています。)



このマーベルが召還された際、ショットは自分の助手として、集積回路(LSI)技工士のアメリ
カ人 ゼット・ライトもバイストン・ウェルに呼び込んでいます。ゼットについては、ドレイク
の謀略を認識した上でショット同様にその計画に賛同し、そのまま配下に加わりました。

ドラムロ、ダンバインからオーラマシンのオーラ係数が飛躍的に性能アップし、またビランビ
ーから搭載されたオーラ増幅装置の開発は、すべてゼットの功績によるものですが、始終ショ
ットに手柄を横取りされていたため、彼の存在は目立つことはありませんでした。



ギブン家では、かねてよりドレイクのオーラマシンを利用した暗躍に対して欺瞞の念をいだ
き、語り部となる使い走りのミ・フェラリオやガロウ・ランの密偵をラース・ワウの城に送り
込んだり、オーラマシンの製造技術を模らうためのスパイ技術工 ドルプル・ギロン(もとは鍛
冶屋です)を送り込んだりという工作を、水面下日常茶飯に行なっていたようです。このた
め、マーベルやナックルの救出も可能であったと考えられています。


この後、ニーに助けられたナックル・ビーは、フェラリオの住む水の国(ウォ・ランドン)の
ワーラー・カーレンに帰還するも、禁を破ってオーラロードの閂(かんぬき)を消しさり、地
上人を呼び込んでバイストン・ウェルを騒がせた罪で、フェラリオの長ジャコバ・アオンによ
って醜女(しこめ)の姿に変えられ、コモン世界のラウの国ボンヤー山麓あたりへ放逐された
といわれています。


さらにその後、ドレイク・ルフトが再び地上人を召還するために、別のエ・フェラリオ、シル
キー・マウを捕獲するまで、実に1年近くの月日を要したとされています。


人の魂の安息の場であるバイストン・ウェルにおける時間軸の流れはおだやかで、一説には地
上世界の時間感覚にして半分ほどの速度だといわれています。フェラリオの住むウォ・ランド
ンに至ってはさらに時間流が遅いという仮説があります。

すなわちバイストン・ウェルにおける1年は、地上で2年の年月が流れていることになり、地上
人であるショットウェポンにとって、この期間がいかにもどかしいものであったかは想像に難
くありません。


もとい、こうした不測の事態により、もともとオーラ力の強い地上人が搭乗することを前提に
開発が進められてきたアーバインは、オーラ係数やオーラコンバーターのピックアップ臨界の
設定をデチューンし直し、ゲドの性能に戻さざるを得なくなり、強化型ゲドの性能の域をでな
い中途なオーラバトラーとなってしまったのです。








   









       








               








                                  






■このほどの奇天烈製作の経緯について

毎年、春先になるとオーラ力が増大して精神がいっぱいいっぱいになってしまいます。それ
も、善のオーラ力ではなくハイパー化しそうなヤバイ方です。とにかく、仕事も生活も年度切
り替えで、何かと懊悩が山積する時期なのです。

それで、「たまには作りたいものを作るぞっ」ということでバイストンウェルものを。

避けていた「MG ダンバイン」との対峙。
恐らくこのHPを見ていただいているモデラー趣味の95%の方は、この一昔前の奇跡的に製品化
されたキットの内容に対して賛美し肯定されているかと思います。しかし、わたしはなぜかダ
メなのです。

マ・クベ大佐の北宋に対するそれのようにはいきません。なぜならわたしにとって、ダンバイ
ンとは、同番組作品の作画監督チーフをされた湖川友謙さん描くところの骨格表現的で流麗な
フォルムのダンバインしか認められないからです。心が狭隘といわれてもこれだけは譲れませ
ん。


オーラバトラー基本デザイン産みの親たる宮武一貴さん、オーラバトラーの生物的タッチの決
定版イラストイメージを確立された出渕 裕さん描くところのダンバインは、それはそれですご
く魅力的で完成されたひとつの姿なのですが。


ことプラモデルに関していえば敢えて「ノー!」なのです。わたしにとって真のダンバインと
は、やはり劇中で雄々しく華麗に、訴求に満ちた抑揚のある光と影を意識したラインで描か
れ、かの時ブラウン管の中で生き生きと動いていた、それ以外の何者でもないのです。


もっと具体的に書くと、#1 #2 #10 #15 #18 #19 #23 #25 #29 #33 #37 #42# 45 #47の
各話に登場したダンバインの姿です。これでピンと来る人は、スタジオ・ビーボォファンなの
でしょう。(嗚呼、話がくどいですね・・・)


そういう事由で、MGダンバインは、わたしが求める造形解釈から逸れており、見るたびにムキ
ーっとなってしまうのです。とくにダンバインの頭部が、上から見て美しい楕円スタイルにな
っておらず、カマキリのように三角形をしているのがどうしても納得できないのです。たとえ
100人中99人が「これでいい」といっても。

もう正面から見たら、ギブン家付きのガロウ・ラン、ホン・ワンのあの骸骨風の頭と顔を想起
してしまうほど似ていますし。



・・・で、このキットとまともには接しず、ちょこちょこいじって最小限の労力で最大限にダ
ンバインに見えなくする作り方を採ってしまいました。それにしても、久しぶりのオーラバト
ラーキットの製作は滅茶苦茶たのしくて、あまりのめり込むとヤバイので、1週間内にポンッと
仕上げられる範囲に製作期間を限定して、奇天烈チックに遊んでみました。


ゲドヘッドについては、ゲドのスズメバチみたいな凶悪な形状の下顎のデザインが好きなの
で、頭部はこちらのタイプに。中途半端な改造で、まだダンバインの雰囲気が残っています
が。それでも、実は頭部の形状自体パテ盛りでかなり変えています。

オーラインテーク(口の部分)のレイアウトも実は全然違っていたりします。

触覚風のアンテナ部分は、オーラセンサーというオラ設定です。元ギブン家領地にあるイヌチ
ャン・マウンテンにのみ生息するサティポロジァ・ビートルのほんのちょっぴりの腸を数千匹
分乾かして編みこんだ繊維素が表皮に使われていて、オーラ感能率は世界イチィィ!です(呆


オリジナル装備の弓もやはりプラ板積層によるスクラッチ。最初は作るのが面倒で、女の髪留
めとか使えないかなと考えたりもしていたのですが、やはり一から作り起こした方が全然いい
ですね。

以前から、弓という武器が好きです。『ランボー』観た時から、火薬なんて要らないし音も立
てずに射れるから、ひとつの究極のエコ飛び道具だと思いましたね。それにしても、弓使いで
アーバインといえば、『ベルセ○ク』のあの人(使徒?)思い出しますね。



あとは、上でいい加減な話を書き連ねていますが、ゲド・ツォウは試作機ということで、オー
ラセイバーリキッドの循環器系、オーラマルスやコンバーター内の飛翔器官の稼働状況視認の
ために、装甲に除き窓の穴を沢山あけたり、各部位の装甲のフチにライニングの処理をしたり
(これが面倒くさい)・・・ですね。


これだけはしておきたい工作としては、キットのスネパーツの後ろ、フクラハギの下に、フィ
ン状の樹脂パーツを取り付けるために大きく穴が空いてしまった箇所(ガンダムのダムと呼ば
れる部分?の下)は、プラ板を湾曲させたもので塞いでパテでラインを修正しました。


襟の宝飾部分には、「ルービ」という小型の透き通った美しい甲殻獣が、生きたまま左右の襟
に埋め込まれているというオラ設定です。一応、ポジショニング灯の役目を果たすとか果たさ
ないとか。

バイストン・ウェルで生きたまま甲殻獣が道具として使われている例としては、ドレイク・ル
フトやロムン・ギブンが杖代わりに使っていたタツノオトシゴみたいな「エツ」、リムルが新
式オーラバトラーのオーラ増幅器の設計図を入れるポシェットにしていた「ニカ」、ショッ
ト・ウェポンがファッションでいつも肩から胸にかけていた骨のようなペット(!)、ABズワ
ァースの剣の柄の部分などが挙げられますね。


フトモモの外側に取り付けている真鍮色の大砲は、帆船模型のパーツより流用です。威嚇用の
「すもーくでぃすちゃーぢゃー」として取り付けられたものですが、ほとんど飾りでしょう。
使用時は上を向きます。


でも、ナンだカンだいって、ネープルイエローのカラーリング(ゲア・ガリングの色ですね)
で随分印象が変るものです。いっしょに写っているWWII系のフィギュアは単なるエキストラで
すので気になさらぬように。オーラバトラーのサイズ感覚を表現するには便利ですね。あーた
のしかった。







         











       









    













                          



■みえるだろうバイストン・ウェル

このゲド・ツォウ製作の間は、士気高揚・モチベーション維持のために、当時購入したダンバ
インの管弦楽BGM集アルバムレコードに久しぶりに針を落として聴いたり、『聖戦士ダンバイ
ン』の録画ビデオを視聴したりして、悦に入っていました。もう最高に馥郁たる時間の過ごし
方でしょう。


10年ほど前にはアニメで『リーンの翼』が放送されていました。そのころから改めて感じたこ
となのですが、80年代に放送されたアニメと、現在放送されているアニメは、異質なものにな
っているといわざるを得ません。(今頃何いってんねん!って感じですが。)


世界観やストーリーの独自性、ロボのデザインなどのネタについては、先行のアニメ作品が数
多(あまた)あり、もうとっくに成熟しきった業界なので、似通ってしまうのはある程度はし
かたがないと思います。

リーンの翼のころのがんばった意欲作としても、オリジナル性を認めてもらえない『エウレカ
セブン』や『アクエリオン』などはその例証なのかもしれません。


一方で、やはりアニメ作品なのですから、わたしは絵の部分の映像とメッセージ性に関心を持
ってしまいます。今のアニメは、作画の本質的な部分の絵画レベルにオリジナル性や工夫が感
じられず、模倣の模倣の連続を感じざるをえません。


表層的な表現やデジタル処理、総合的なアニメーションの技術はどんどん向上し洗練されてい
ますが(絵がきれいに見えるのは事実)、その一方で単純に独自性のある絵心や訴求性のセンス
の部分はどんどん喪失されているように思います。少し大げさですが、このことは大昔の絵画
の巨匠と、近代画家ぐらいのオーラの差があると思います。

デジタル処理全盛の昨今、捨てられてしまったセル画というアナログには、肉筆としてのトレ
ースラインの抑揚と美しさを内包していました。(今またセル画でのアニメ制作が見直されてい
る向きはありますが。)


今の作画はおしなべて、人の温かみが感じにくくなっています。すべて何かを模倣しつづけた
蓄積によるもので、デッサンとしての個性がなく、またリアル・劇画調から遠のいています。
キャラクターの表情・アングルも一様です。登場するキャラクターの大半は宇宙人のようなデ
ッサン無視骨格無視の体型で、目が異様に大きいです。そして絵で一番重要な要素である光と
影の表現から乖離する方向にあります。今アニメを視聴される大衆がそうした「スマートでは
ない、ゴツゴツとした」画風を望んでいないことも理由に挙げられますが。


それでも、昔のガンダム、マクロス、ダンバインにあったような、荒削りでもいいから、骨太
の個性と抑揚のある線画で構成された訴えかけてくるようなインパクトのある映像がまた見た
いものです。

劇画調は、バイストン・ウェルの世界観にもマッチした絵柄だと思いますし。(ダンバインの
場合は、イデオンで蓄積された湖川さんの画力が完全に昇華された作品なので、でき過ぎでし
たが。)


しかしながら、そうした希求は、もう二度と現在進行形における新作アニメで叶えられること
はない、という現実をひしひしと感じてもいます。仮に、往年の湖川友謙さん、安彦良和さ
ん、美樹本晴彦さんのように個性的でアクとセンスのあるキャラクターを描けるアニメーター
の方がいたとしても、それを作品・映像に反映できる環境や市場性の受け皿が、今のテレビ業
界にはもうないのでしょう。


かつて、ヘッドクォーターが20代の若手ばかりで構成されていたアニメやTVゲーム業界も、今
は平均年齢が通常の業界と同じく40代近くに移行してきており、ある意味新鮮さと活気のなさ
すら感じてしまうのは、わたしだけでしょうか。


『ダンバイン』のエンディング曲のシーンで、魚眼レンズを通して観たようなラース・ワウ
と、夕陽で赤鳶色に染まったガラの山を借景に、多くの花弁が舞い流れる中、ゆっくりと走り
つづけるミ・フェラリオのエル・フィノを写した動画映像の妙技は、今のアニメが失ってしま
った何かを多く内包している気がします。


勿論、曲だって、90年代アニメから始まったどこかのアーティストのタイアップ方式ではな
く、ちゃんと専用に作詞・作曲された内容ですし。

はたして今現在放送されている数多くのアニメ作品に、ダンバインのように30年以上の時を過
ぎてもなお、視聴者の心に深く残りうる印象がありうるのでしょうか。・・・というのも何だ
かオジンくさい意見ですね。



「バイストン・ウェルの物語を憶えている者は幸せである。心豊であろうから・・・」

今になって、アレン・ナレーターの毎度のこの科白が胸に突きささってくることになろうと
は。30ン年前のあの頃、中学生だった自分が嘘のようで、その少年も今ではむくつけし男
に・・・。

「みえるだろう バイストン・ウェル。」
当時の少年だった自分には、バイストン・ウェルがすぐそこにあるかのような錯覚を起こすほ
どダンバイン世界の虜になっていました。何せ主人公の祥と同じく、地上人である自分にとっ
て、バイストン・ウェルは未知の世界ですから、いくらでも空想を膨らませることができまし
たから。


・・・しかし、今ではバイストン・ウェルを垣間見ることすらできません。これは夢もオーラ
ものない大人になってしまった証左なのかもしれません と同時に、『ダンバイン』のようなフ
ァンタスティック作品が放送されていたことさえ、ふと「あれは、すべて幻だったので
は・・・」と思えるほどの永い時が経過してしまいました。


それゆえになお、「花は春、夏は陽炎、秋紅葉、冬は白雪すでに無し。」と詠んだラウの国の
重臣プラドンの科白が、いつまでもわが胸の裡にこだましつづけるのです。 (おわり)







              


        家の倉庫の整理をしていたらでてきたアイテム。
        当時買って遊んだダンバインのジグソーパズル。
















- APPENDIX -
ダンバインヘッド備忘録
各キットにおける頭部の造形解釈と個人的理想像





           



過去に製品化されたダンバインのプラモデルについて以下に、頭部の造形をそれぞれ描きだし
てみました。この機会に比較しようと。模型既存品で満足のいくダンバインヘッドがなぜない
のかを説明したくて。

ここ数年はロボット魂 side ABシリーズで大変できのよろしい各オーラバトラーを補完してく
れているので(フォウまで!)嬉しいかぎりですが、どうにもわたしか思い描く理想のダンパイ
ンヘッドは存在しないのです。







                  


■ 旧キット1/72 初期タイプ
『聖戦士ダンバイン』放送当時、最初に発売された1/72キットの頭部。「イメージが違う」と
つらく評されて、後に頭部の金型は改修されます。

ななめ上前アングルで描いてみたが、多少のデッサンの狂いはご容赦を。絵にしてみると割と
いい感じに見えなくもないが、実物はとにかく「全体的に違う感いっぱい!」の造形。

頭部の輪郭は三角形でガイコツ風。ポイントとなるヒサシ部分を含めて前半分がボリューム不
足です。結果、目の位置が前のめりに見えます。

角は板状というより棍棒っぽい厚みのあるアレンジ。また小スケール故、口の部分のオーライ
ンテークのディテールが省略されている。この前期タイプのヘッドは首が異様に短くて、それ
もイメージを悪くしていました。







                  


■ 旧キット1/72 後期タイプ
1/72スケール旧キットで金型が改修された頭部・後期仕様。ショウ用に加えて、箱替えでマー
ベル用とか、成型色替えでトッド用として発売されたのはこちら。(トカマク用は没に。) 流
石に改修されただけあって及第点のできばえ。初期仕様とは別物。首の長さも改善されまし
た。旧キットのダンバインの1/48、1/24スケールもなかなかよいできの頭部形状で、この1/72
後期の造形解釈の延長にあるような気がします。

シトロエンのダブルシェブロン風逆マークが、やや後方にモールドされているのが残念。オー
ラインテークのディテールはやはり省略されたノッペラボウのままです。

角はかなりよくなったが、断面がプラの厚みのままですね。







                  


■ 1/72 HG
2000年頃にバンダイと電撃ホビー誌の呼びかけでリニューアルされた1/72のHG。発売当時
は、かなりセンセーショナル&インパクト抜群でした。

当時、出渕裕さんがキット発売にあわせて描いたディテールアップ版のダンバインのイラスト
イメージを半ば採り入れているためアニメ風ではなく、全身にわたって独特のアレンジと鋭角
的なライン取りが散見できます。今観ると、ちょっと?ですね。

ヒサシもアゴも先端がアールしています。目はやや前方を向いていて、見る角度によっては前
側がヒサシで一部隠れます。また目の部分自体が平面ではなく山折りで立体的になり、アウト
ラインの角が丸くなっています。

オーラインテークパーツの側面のスリットは、設定では凹溝だが凸モールドに。
角は、ご覧の通りかなり有機的な曲線主体の造形アレンジで好みがわかれます。







                  


■ 1/35 MG
世間的な評価ではダンバインキットの決定版、真打ち登場という感のあるMGです。頭部の形状
も万人が認める秀逸さ。とくに、水平位置から見る頭部真横のライン取りと形状は、設定資料
のイメージにも近しく、よくぞここまでとうなってしまいます。

一方で、MGの苦手なアングルが、ちょうどこのスケッチの向き。正面から見て目が前を向いて
いるように頭部形状とラインが工夫・練られているため、どうしてもヒサシのラインが、アニ
メのままではつながらないようですね。結果、三角形の頭部輪郭になっている点が残念です。


目やオーラインテークのアレンジの方向性はHGの延長上の解釈。角に関しては、設定資料とは
異なるが、嫌味のないレベルで美しい曲線でアレンジされています。カラー(襟)の形状は、
HGとMGに関しては左右がくっついているアニメ風とは違うアレンジですね。あと、HGもMG
もデザインを締める役割のはずの黒帯のラインの扱いが細かったり、テーパーだったりでアニ
メの印象との差異があります。







                  


■ 設定資料 宮武さんのダンバイン
ダンバイン生みの親、宮武一貴さんの描いた原案のクリンナップ後の設定資料頭部です。当時
のクローバーのオモチャなどはこちらを元に。前のひさし部分が小さく、角も立ち方向にあ
り、全体的にかわいい印象です。旧1/72キット初期仕様にも似ていますね。

劇中作画イメージのダンバインとのギャップがありすぎて、当時の3D製品は皆どちらを優先す
ればいいのか困惑させられたのでは。オーラインテークのデザインは、プロットのままなのか
台形をしています。

スタジオ・ぬえ(宮武さん)らしいデザイン点としては、黒の帯ラインが太く描かれアクセン
トに用いられていること。そしてダブルシェブロン逆マークが意外とシャープに大きく描かれ
ている点などが挙げられます。







                  


■ 劇中作画 湖川さんのダンバイン
劇中でスタジオ・ビーボォの各々方が作画監督を務めた話数に作画されたダンバイン頭部の典
型を描き出してみました。自分の画力では完全に表現できないのが悔しい。スピード感のある
流線的な楕円フォルム。ヒサシが長く鋭く、角の先端までラインがつながっています。アゴの
ラインの描き方はもう少し幅があった方がいいですね。

個人的に好きなのは、このダンバイン。既存のキットでは、ガレージキットも含めてないスタ
イルです。

基本的に魚顔なので、正面から見ると目が前を向いておらず、かすかに見える程度。目は横を
向いている格好なので、正面顔の訴求は弱いでしょうね。ダンバインの顔は正面か横顔かどち
らか優先して造形していくべきだと思います。





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