IIIKのモデラー三昧なフロク

  製作した模型のレポートです。
  このページは特別に、当サイトで以前発行・販売していた電子書籍『模型制作理論
  マスキング塗装編』に掲載していた内容を抜粋しています。
  おもにエアブラシを使用したマスキング塗装の応用技術を使いながら完成までの工
  程を紹介しています。







         テーマ: タミヤ ミニ4駆
         日時: 2016年4月3日


マスキング塗装作業実例(タミヤ ミニ4駆 ブラストアロー)




   

                          マスキング塗装で仕上げたミニ四駆




模型キットでのマスキング塗装実例

実際のプラモデル製品を使って、キットの箱絵にあるカラーリングをマスキ
ング塗装で再現します。

題材は、タミヤのミニ四駆PROシリーズ「ブラストアロー」てす。ルマンレ
ースカーイメージの流線型ボディに、直線、曲線、折れ線などがいりまじっ
たレッド&ブルーラインの鮮やかなカラーリングが目をひきます。

マスキング塗装の難易度としては、中級から上級レベルになります。

この実例レポートでは、マスキング塗装のパートを中心に、このプラモデル
完成までの各工程を紹介します。(キットの組み立て作業などの説明は省略
します。)



  紹介する主な作業パートなど
    ・パーツの表面処理(足つけ)
    ・下地とベースカラーの塗装
    ・1回目のマスキング
    ・赤色の塗装
    ・2回目のマスキング
    ・青色の塗装
    ・3回目のマスキング
    ・ツヤ消し黒色の塗装
    4回目のマスキング
    ・スピード効果線の筆塗り
    ・完成画像






      


  使用するキット
   タミヤ 1/32スケール ミニ四駆PROシリーズ
  BLAST ARROW (ブラストアロー)
  2013年6月29日ごろ発売  メーカー希望小売価格 945円(税込み)
  (取材協力 掲載許諾 : 株式会社タミヤ )
  ※ この表示内容は、2013年夏季現在のものです。
   価格は購入される時期、店舗によってことなる場合があります。












作業の前に
使用するマスキング資材と塗料について
の作例で使用するマスキング資材は、標準的な18mm幅の和紙マスキング
テープのみです。あと、見切りラインとは関係ない部分で、ひろい範囲のマ
スキングカバー用にキッチンペーパーを使います。


使用するカラーは、模型用ラッカー塗料の白、赤、青、銀、黒の各色をエア
ブラシで塗装します。基本的にツヤありの塗料を使いますが、黒色のみツヤ
消しです。最後の効果線の筆塗りでは、模型用エナメル塗料の銀色と白色を
使います。






    


キットの付属シールについて
タミヤのミニ四駆「ブラストアロー」のキットには、このような専用シール
が付属しています。印刷がきれいで、ハーフカットの精度も高いです。これ
らを貼るだけで箱絵のかっこいいカラーリングが再現できます。


この作業実例でマスキング塗装するのは、ボディ各所に配された赤と青のラ
インをメインに、黒のグラデーションになっているエア通気口周辺、そして
赤青ラインとセットになっているシルバーのスピード効果線(ひっかき傷の
ような模様)の各カラーリング部分です。


ヘッドライト、フロントウインドゥとサイドウインドゥ、ゼッケン、こまか
い文字・ロゴ、給油口の各部分は、マスキング塗装がむずかしいため、この
シールからデザインナイフで切りだして使います。








     


作業対象となるパーツについて
この作例でマスキング塗装作業の対象になるのは、これらのパーツです。
ボディパーツ、リヤウイング、リヤアンダーウイング、ホイール、センター
マフラー(排気管。ボディとシャーシの固定用パーツ)。


ホイールは白色に塗装するのみ。リヤアンダーウイングは青色で塗装するの
み。センターマフラーは銀色に塗装するのみのため、以降とくに作業の説明
はありません。なお、キットのシャーシ側のパーツ類は塗装しません。












パーツの表面処理(足つけ)

ここから実作業にはいります。まずは、ベースカラー塗装のための準備から
はじめます。

各パーツの表面を製品のツルツル状態から、塗装に適したサラサラの状態に
までサンドペーパーで研磨します。


パーツ表面がツルツル(ツヤツヤ)のまま塗装すると、塗膜の密着が不充分な
ため、後でマスキングしたテープ片をはがすとき、塗膜がいっしょにはがれ
てしまう可能性があります。

塗膜の密着性を高めるため、パーツ表面全体をまんべんなくサンドペーパー
で足つけ処理しておくことが大切です。


また、プラモデルのパーツには、ランナーから切りはなしたときのゲート
跡、成型時の微妙なゆがみやヒケ、押しだしピン跡などがあるため、この研
磨作業で同時にパーツ表面をきれいに整えておきます。


ヒント
塗装前のパーツ表
面は、サンドペーパ
ーによる研磨作業で
足つけと整面を同時
に行なっておく。




  

サンドペーパーによる足つけと整面作業の流れ
@製品状態のボディパーツです。このままシールを貼ってすぐ遊べるように
ツヤありのきれいな表面になっています。この状態は塗装に適していないた
め、塗膜密着のための足つけ(パーツ表面の研磨作業)をする必要がありま
す。


A研磨作業には、空研ぎ用サンドペーパーを使いやすいサイズに切って使い
ます。番手は、600番→800番の順に使います。

パーツの曲面には、サンドペーパーを二つ折りにして指でペーパーがけしま
す(手研ぎ)。パーツの平らな面や角(カド)は手研ぎしてはいけません。平面
が波うってしまったり、角のエッジがだるくなってしまいます。画像のよう
な当て板(研磨ファイル、研磨ブロック、研磨ホルダーなど)にサンドペーパ
ーをつけて研磨作業します。


Bサンドペーパーがけは曲面の手研ぎから行ないます。パーツ表面のツヤが
消えるようにていねいかつ均一にサンドペーパーをあてます。番手は、目立
つゆがみやヒケがなければ800番のみ使います。


Cパーツの平面、カド(山折り線)、谷折り線などにはかならずサンドペーパ
ーを当て板につけて研磨作業します。


Dひととおり研磨作業が終われば、ハブラシなどを使ってパーツから研磨カ
スをきれいにとりのぞきます。


Eサンドペーパーによる足つけと整面作業を終えた状態です。@とくらべて
ツヤがなくなり、しっとりサラサラした状態の表面になりました。これが足
つけを終えてマスキング塗装に適したパーツ表面の状態です。



【作業のコツ】
Aの研磨作業用の当て板類には、サンドペーパーを当て板の形状にあわせて
切りだし、両面テープでくっつけて作業します。研磨作業中にサンドペーパ
ーが当て板からずれなくなるので、作業精度が格段にアップします。

BCの作業順を守ってください。Bの手研ぎでだるくなった部分も、C作業
で平面性やエッジを復活できます。


【注意点】
これらの研磨作業はすべて空研ぎ用サンドペーパーを使ってください。水研
ぎ用サンドペーパーは使いません。

Dは、周囲に研磨カスが飛散しないように、掃除機の吸い込み口をそばにも
ってきて作業するとよいです。また作業中、研磨カスを体内に吸いこまない
ように注意してください。パーツの水洗いは必要ありません。







ヒント
パーツの平面やエッ
ジ部分の研磨は、サ
ンドペーパーを研磨
ファイルやブロックに
つけた状態で使うこ
と。






健康に注意!
研磨作業によるパー
ツの削りカスを、体
内に吸いこまないよ
うに充分注意するこ
と。










下地とベースカラーのエアブラシ塗装

表面処理を終えた各パーツに、下地塗料のサフェーサーをエアブラシで塗装
します。

サフェーサーには、先に行なった研磨作業によるサンドペーパーの目消し
と、上塗り塗料の密着を高めるなどの効果があります。

サフェーサーの塗膜が乾燥したら、パーツ表面にキズや問題がないかチェッ
クし、ベースカラーの白色をエアブラシで塗装します。






  


サフェーサーと白色のエアブラシ塗装
@足つけ処理などを終えたボディパーツに、下地塗料のサフェーサーを塗装
します。サフェーサーは缶スプレーのものを使わず、ビン入りの1000番目
か1200番目のものをエアブラシで均一に塗装します。

サフェーサーのエアブラシ塗装用希釈率は、塗料製品状態に対してリターダ
ー(乾燥遅延剤)を適量加え、シンナーで約3倍に薄めて吹きます。

一度に厚吹きはせず、薄吹きをくりかえします。塗装した塗膜から溶剤分が
ぬけるインターバルを数分おきながら、2〜3回塗装します。


Aサフェーサーを塗装し終えた状態の各パーツです。1000番目のサフェー
サーをエアブラシでていねいに塗装するとスベスベの塗膜肌になり、このま
ま上塗り塗装ができます。また、サフェーサーを塗装すると、パーツ表面の
形状(粗の状態)を確認しやすくなります。

サンドペーパーのキズ跡、ヒケや押しだしピン跡などのこっていないか、こ
の機会に全体をよくチェックします。問題がみつかった場合は、その部分に
サンドペーパーをあて、部分的にサフェーサーを塗装します。


B「ブラストアロー」のベースカラーであるツヤありの白色をエアブラシで
塗装します。塗料の希釈や塗装の要領(薄吹きのくりかえし)はAと同じで
す。ただし塗装回数は、白色が均一に隠ぺいする(色がとまる。発色する)ま
で4回行ないます。

ボディパーツ全体ムラなく均一に塗装するように心がけます。画像のように
造形的に奥まった部分は、エアブラシの塗料ミストがとどきにくいため、先
に塗ります。


Cベースカラー(ツヤあり白色)を塗装し終えた状態です。白色はつぎに塗装
する色の発色効果が高いため、つぎの上塗り塗装には有利です。ホイールは
これで完成です。

つぎからボディパーツなどのマスキング作業にはいりますが、その前にベー
スカラーの塗膜を充分に乾燥させておきます。



【作業のコツ】
エアブラシ塗装はすべて薄吹きのくりかえしで、塗膜を形成するようにしま
す。

作業前には、塗装中のパーツにゴミ、ブツ、化繊などが付着しないように、
塗装作業場所周辺に掃除機をかけ、着ている衣類にはカーペットクリーナー
(コロコロ)などでホコリを除去しておきます。頭髪も手ではらってホコリを
落としておきます。


@のサフェーサーは、パーツ地の白色が見えなくなればO.K.です。それ以上
は厚く塗らないようにします。


【注意点】
エアブラシ塗装は、模型用塗装ブースの前で作業してください。塗装中は体
内に塗料ミストを吸引しないように、活性炭入り脱臭マスクを着用してくだ
さい。肌にも塗料が付着しないように、塗装用手袋を着用してください。


模型用ラッカー塗料には有害な成分がふくまれています。吸引以外に、目や
鼻の粘膜、皮膚からも体内に侵入します。塗料が皮膚についた場合は、すぐ
洗い流してください。



健康に注意!
エアブラシ塗装は塗
装ブースの前で行な
うこと。脱臭用マスク
と塗装用手袋を着用
すること。



メモ
上塗り塗装作業の前
には、周囲に掃除機
をかけ、衣服や頭髪
からホコリや化繊など
をとっておく習慣をつけ
る。



ヒント
エアブラシ塗装は、
薄吹きのくりかえし
がすべての基本。


パーツの奥まった部
分はエアブラシの塗
料ミストが付着しにく
いので、先に塗装す
る。


                










1回目のマスキング作業



    

                     1回目のマスキングをすませた状態



ベースカラー(白色)の塗膜が完全乾燥すれば、この作例におけるメインの課
題である赤青カラーリングライン部分のマスキング塗装の工程へとすすみま
す。

まずは、上の画像のようにボディとリヤウイングパーツにおけるの赤青ライ
ン以外のところをすべてマスキングテープ片でマスキングする作業を行ない
ます。


マスキング資材は、標準的な18mm幅の和紙基材のマスキングテープを使用
します。カッティングマット上で2mm幅に細切りしたマスキングテープ片
を、赤青ラインにあわせてすこしずつ貼りすすめていきます。

つぎから具体的にマスキングのしかたについて説明していきます。


【作業のコツ】
この作例のマスキングに特別高度な技術は必要ありません。直線、曲線内
側、曲線外側、山折り貼り、谷折り貼り、重ね貼り、折り線外側、折れ線内
側、三角(鋭角)の各マスキングの応用でできます。


注意点】
マスキング作業は、各パーツに塗装したベースカラー(白色)が完全に乾燥し
てから行ないます。

夏場の自然乾燥で最低でも2〜3時間。いそがないのであれば乾燥に半日おき
ます。冬場はその倍の乾燥時間をとってください。

ヒント
マスキングテープ
は、よごれていない
きれいな指や手であ
つかうこと。






    


見切りラインから正確にマスキングする
模型パーツへのマスキングは、大切な見切りラインから行ないます。
赤青のカラーリングラインは、ボディとリヤウイングのパーツに10ヶ所以上
にレイアウトされています。それぞれ独立しているので、貼りやすいところ
からすすめます。


この作例における見切りラインのマスキングは、上の画像のとおり、基本的
に2mm幅に細切りカットしたマスキングテープ片による重ね貼りによって
構成していきます。



【作業のコツ】
精密さがとわれる見切りラインのマスキング作業は集中力が必要なうえに、
貼る点数が多いと根気がいります。著者の場合、この1回目のマスキングす
べて貼り終えるのに3時間かかっています。

マスキング作業はたとえゴールが遠くても、いそがずていねいにひとつひと
つ的確に処理していくことが大切です。


【注意点】
見切りラインと関係のないマスキング部分は、すべての赤青ラインの見切り
ラインマスキングが終わってから、カバーするようにします。

メモ
模型パーツへのマスキ
ングは、重要な見切り
ラインから行なうのが
基本。







マスキングの課題 位置ぎめとシンメトリーについて
本ページの冒頭で、この作例におけるマスキング塗装の難易度が中級から上
級とのべた理由は、マスキング見切りラインの「位置ぎめ」ならびに「シン
メトリー」(ここでは左右対称性の意味。)をとるむずかしさにあります。


きれいに隙間や浮きなくマスキングテープ片を貼ることはもちろん大切です
が、模型の仕上がりとして全体のバランスのとれたカラーリング仕上げにす
ることもまた重要です。

この作例では、ガイド線もなにもないボディパーツに、赤青ライン塗装用の
マスキングを正確な位置に貼らなければなりません。さらに、ボディの左右
で対称にする必要もあります。



【作業のコツ】
このふたつの課題の対策法は工夫しだいです。つぎのABCのやりかたなどを
活用して見切りラインのマスキングの位置ぎめとシンメトリーの調整をしま
す。





A パーツ上で、マスキングテープ片を貼るちかくに目印となる造形上のディテールや線をみつけ、そことの距離感をたよりに貼る。
B 細切りマスキングテープ片の長さ、幅そのものをガイド(定規)として利用しながら貼る。
C マスキングテープ片を貼った後、正確な定規でAの目印などとの距離を確認する。



Aは、マスキングテープ片貼り位置ぎめのとき、だれもが自然と行なってい
る方法です。


Bは、位置ぎめと、とくシンメトリーをとるときに有効なテクニックです。
下の画像のように、正確に同じ長さと幅にに切りだした細切りマスキングテ
ープ片を、模型パーツの左右にふりわけて貼ることで、左右対称のマスキン
グが自然と作りやすくなる利点があります。


Cの方法は、意外にマスキングになれてくるとあまり使いません。AとBがで
きていれば必要性がなくなってくるからです。


【注意点】
見切りラインに貼ったマスキングテープ片の位置を再調整する場合、安易に
爪で押したりピンセットでつまんで横にずらしてはいけません。後でもとの
位置にもどって塗装トラブルの原因になります。貼ったマスキングテープ片
の位置調整は、はがして貼りなおします。

作業の注意!
貼ったマスキングテ
ープ片の位置を再調
整する際、横にずら
さないこと。(後でもと
にもどるため。) テ
ープ片をはがして貼
りなおすこと。


         

            まったく同じ長さ、幅に切りだしたマスキングテープ片をパーツ
            の左右にふりわけて貼れば、シンメトリーはとりやすくなる。






 


ポイントとなる部分について画像にコメントをいれました。
このフロントボディ周辺のマスキングで、もっともシンメトリーをとるのがむ
ずかしいのは、フロントボディ中央のところです。ただし、目印になる山折り
線などたくさんあるのでそれらを利用して貼る位置をさだめます。

フロント中心にある鋭角部分は、より鋭角に切りだした2つのマスキングテー
プ片の重ね貼りで対応します。



【作業のコツ】
ヘッドライトの上辺とフロントウインドゥの下辺については、つぎの塗装がや
やかぶるようにずらしてマスキングしておきます。各々最後にシールを貼るの
で、塗装のはみだしはかくれます。


【注意点】
谷折り貼りのところは、マスキングが浮やすいです。マスキングテープ片を貼
った後と塗装直前の要チェックポイントです。










   


このリヤボディ周辺のマスキングでむずかしいのは、ルーフセンターからリ
ヤエンドまでつづく細長い直線のマスキングです。塗装にのこす幅が2mm
ほどしかなく、ルーフ左右の赤青ラインどうしの距離がちかいため、シンメ
トリーにすこしでもくるいがでると目立ちます。


もうひとつの課題は、画像右上の曲線内側と曲線外側のマスキングテープ片
貼りところです。曲線は、左右対称にするのがむずかしいため、マスキング
テープ片をひととおり貼ってから、左右を見くらべて確認、調整します。



【作業のコツ】
曲線外側のマスキングは、曲率が直線に近いため、1.5mm幅にカットした
細切りマスキングテープ片で対応できます。


【注意点】
画像右上の塗装部分で鋭角や先細りになっているところは、塗装時に塗料が
浸透しやすい箇所です。マスキングテープ片の浮や隙間がないかよくチェッ
クします。









     


サイドボディ周辺のマスキングは、赤青ラインのカラーリングデザインの意
図をよみとる必要があります。

画像にコメントしているように、前後にわかれてマスキングしますが、サイ
ドボディでひとつの直線の流れになるように、それぞれマスキングテープ片
貼りの角度に注意します。


リヤホイールアーチの上部前方にある三角(鋭角)は、より鋭角にカットした
マスキングテープ片の重ね貼りで対応します。鋭角下の塗装部分がかなり細
く、ホイールアーチの断面までつづくので、すこしでも雑に貼ると目立ちま
す。



【作業のコツ】
サイドボディ中央のパーツ開口部は、マスキングの最後にボディパーツの裏
側から、18mm幅のままのマスキングテープ片で完全にフタをします。


【注意点】
リヤホイールアーチの前方にある鋭角のすぐ上には山折り貼りがあるため、
つられて鋭角部分に貼ったマスキングテープ片が時間がたつと浮やすくなる
ので、しっかり貼っておきます。塗装直前にも要チェックのポイントです。










          


ボディパーツの裏側も最後にマスキングします。ホイールアーチやホ
イールインナー(フェンダーカバーの裏側)あたりは、エアブラシ塗装
の塗料ミストが侵入しやすい部分です。隙間なくカバーします。

全体的にとくに神経を集中してマスキングする必要はありませんが、
雑に貼ってもいけません。
マスキングテープ片は18mm幅のまま、長
さ2〜3cmにカットすると貼りやすいです。

ひろい面積のところは、このようにキッチンペーパーやティッシュペ
ーパーなどやわらかい紙を併用してカバーするほうが合理的です。


【作業のコツ】
マスキングテープ片は、連続してつながるように重ね貼りしていく
と、塗装後にはがすとき楽です。









           


リヤウイングパーツのマスキングは、ウイング左右の垂直パネル断
面のマスキングに工夫が必要です。

パーツの断面は1.2mm幅です。それよりわずかに太い1.5mm幅に
カットした細切りマスキングテープ片で断面を一周するように貼り
ます。


なお、リヤウイングパーツ水平パネル部分における赤青ラインの塗
装は天面だけで底面はありません。

ウイング支柱などつぎに塗装しない部分は、キッチンペーパーなど
やわらかい紙を併用してカバーしたほうが合理的です。



【作業のコツ】
垂直パネルの断面に使う細切りマスキングテープ片は、貼る始点と
終点を、垂直パネルの下になるようにすると、仕上げで重ね貼りの
跡がでても目立ちません


【注意点】
垂直パネル内側側面のマスキングは、とくに断面に貼ったマスキン
グテープ片との貼りあわせ部分などに隙間やもれのないようにてい
ねいに貼ります。











赤ラインのエアブラシ塗装と2回目のマスキング

1回目のマスキングをすませたパーツに、まず赤色からエアブラシ塗装しま
す。

ここで、赤ラインから塗装するか、青ラインから塗装するかの判断は、つぎ
のマスキング塗装の内容を考慮してきめます。

赤ラインから塗装したほうが、つぎの青ラインを塗装するためのマスキング
作業が楽です。(つぎに塗装するカラーの発色の影響できめる場合もありま
す。)


また、いくらマスキングが完璧にできても、塗装のしかたしだいで、仕上が
りを失敗するケースもあります。マスキングに対応した塗装法を心がけま
す。




ヒント
マスキング塗装の仕
上がりは、マスキン
グとエアブラシ塗装
の両方の技術がで
きて、はじめて成功
する。


  


赤色の薄吹きをくりかえすのがコツ
マスキングしたパーツは、赤青カラーリングラインの部分のみが露出した状
態になっています。そのラインの赤色で塗る部分になるだけねらいをさだめ
てエアブラシ塗装します。薄吹きを4回くりかえして、赤色をムラなくきれ
いに発色させます。


細いラインなので、最初はエアブラシの塗料吐出量の設定をかなりしぼり、
薄吹きで線を描くような感覚でエアブラシを動かします。塗料吐出量の設定
は、押しボタンでコントロールするか、エアブラシのおしりにあるダイヤル
で調整します。


薄吹き塗装の2回目、3回目と回を重ねるごとにエアブラシの塗料吐出量の設
定をふやしていきます。左の画像は、2回目の薄吹きのシーンです。最後の4
回目までつねに薄吹きを心がけます。



【作業のコツ】
エアブラシ塗装はすべて薄吹きのくりかえしで、塗膜を形成するようにしま
す。塗装箇所が別々にたくさんあります。薄吹きの塗装回数を同じにするこ
とで、赤色の発色加減をそろえます。


【注意点】
エアブラシ塗装での厚吹き(厚塗り)は一切しません。
薄吹き1回目のときは、マスキングの見切りラインに塗料ミストを直接かけ
ないようにします。見切りラインのマスキングテープ片の下へ塗料が浸透す
る原因になります。


また、青ライン側の見切りラインへは、最後まで赤色の塗料ミストをなるだ
けかけないようにします。つぎに青ラインの塗装を重ねるため、塗膜をよけ
いに厚くして段差を作ってしまう可能性があります。

健康に注意!
エアブラシ塗装は塗
装ブースの前で行な
い、脱臭マスクと塗
装用手袋を着用する
こと。



ヒント
エアブラシ塗装の1
回目は、見切りライ
ンに直接塗料ミスト
をかけないようにす
る。

青ライン側の見切り
ラインへは、最後ま
で直接赤色の塗料ミ
ストをかけないように
する。







    


赤ラインをマスキングする(2回目のマスキング)
つぎの青ラインの塗装を行なうための準備として、2回目のマスキングを行
ないます。

この画像のように、1回目のマスキングをはがさずに、赤ラインの塗装部分
を正確にマスキングします。1回目のマスキングと同じく、2mm幅に細切り
したマスキングテープ片の重ね貼りですべて行ないます。


作業量は1回目のマスキングより、ずっとすくないです。
キットの箱絵や付属シールをよく観察して、赤ラインと青ラインの幅のちが
いをしらべてから、赤ライン塗装部分を正確にマスキングします。おおむね
赤ラインより青ラインのほうが幅がひろいカラーリングデザインです。


この2回目のマスキングでは、パーツに対する位置ぎめの苦労はあまりあり
ません。1回目のマスキングをたよりに貼れるからです。しかし、赤ライン
と青ラインの幅の関係、そしてシンメトリーの調整には細心の注意が必要で
す。とくにルーフ部位の細いラインへのマスキングテープ片貼りは繊細な感
覚が必要とされます。



【作業のコツ】
マスキングテープ片貼りにはミリ単位以下の正確さがもとめられます。全体
をマスキングした後、1〜3mmなどの幅、長さに切りだした小さなマスキン
グテープ片を用意し、ピンセットでつかみゲージがわりにします。

定規の目もりを読むより、位置とシンメトリーの確認がしやすくなります。
この機会に各マスキングの見切りラインの幅などをしっかりチェックしま
す。


【注意点】
マスキング作業は、赤色の塗膜が完全に乾燥してから行ないます。

ヒント
塗装範囲のせまい
マスキングほど、テ
ープ片を貼る位置の
正確さがとわれる。
すこしでもずれてい
ると仕上がりで目立
つ。










青ラインのエアブラシ塗装

青のカラーリングラインのエアブラシ塗装にはいります。
青色は発色しにくい(隠ぺい性、とまりがよくない)こともあり、下地が赤色
のままだと予想しているより暗い青色に仕上がってしまいます。これを改善
するため、先に下地の白色をエアブラシ塗装しておきます。これで青色の発
色がよくなります。

ヒント
隠ぺい性のよくない
色の塗装は、下地に
白色などを塗装して
おく。




  


隠ぺい性のわるい青色の塗装
@青色のとまり(隠ぺい性)をよくするために、下地の白色をエアブラシ塗装
した状態です。白色が完全にとまるまで塗装する必要はありません。


A下地の白色塗膜が乾燥した後、青色をエアブラシ塗装します。塗装の要領
は赤ラインのときと同じです。色がとまりにくいからといって厚吹きは一切
せず、薄吹きをくりかえすことで青色を発色させます。

この画像はフロントフード青ラインへの薄吹き1回目のシーンです。最初
は、塗料吐出量の設定をしぼり、見切りラインに直接色をかけないように吹
きます。


B青色のエアブラシ塗装を終えた状態です。結局、画像のような本来の青色
になるまで、薄吹きを5回くりかえしました。


この後、青ラインの塗膜が完全に乾燥したら、パーツからすべてのマスキン
グをていねいにはがします。

なお、ここまでリヤウイングパーツの作業シーンなどを掲載していません
が、ボディパーツと同時進行で赤ライン、青ラインのマスキング塗装を行な
っています。



【作業のコツ】
青はとまりにくい色ですが、根気よく本来の色目になるまで薄吹きをくりか
えします。また、すべての塗装箇所の色目をそろえるため、同じ塗装回数に
します。ただし、サイドウインドゥ横の三角の塗装部分だけは、ベースカラ
ーの明るい白色の下地のままなので、ほかより塗装回数を1回すくなくしま
す。


【注意点】
@の白色の下地塗装は、赤色があるていどかくれる薄吹き2回で充分です。
これ以上塗装をくりかえすと塗膜が厚くなってしまい、仕上がりで塗膜の段
差が目立つようになります。




健康に注意!
エアブラシ塗装は塗
装ブースの前で行な
い、脱臭マスクと塗
装用手袋を着用する
こと。


ヒント
下地の白色の塗装
は、塗膜が厚くなら
ないていどにとどめ
ておく。


メモ
とまりのわるい色の薄
吹き塗装のくりかえし
は、5回におよぶ場合
もある。






       


1回目と2回目のマスキングをはがした状態
青ラインの塗膜が完全に乾燥した後、1回目と2回目のマスキングをす
べてはがしまする。ここまでの仕上がりに問題がないか、全体をこま
かくチェックします。

ここまでくれば、全体の作業工程の7割はすんだ状態です。

ここでもし、マスキング塗装がはみだしていたり、失敗している箇所
がみつかったら、この機会に「タッチアップ」などでうまく修正して
おきます。

模型業界におけるタッチアップの意味は、細筆やペンなどを使い同じ
色を塗り重ねて補修することです。かんたんにいうと「色押さえ」で
す。


タッチアップに使う塗料は、エアブラシ塗装に使った希釈済み塗料
を、塗料皿に微量うつし、シンナー分を揮発させながら使います。こ
うすると、濃くもなく薄くもない塗りやすい状態の塗料で、うまくタ
ッチアップすることができます。

なお、失敗の状態のひどいものは、部分的にマスキング塗装しなおし
ます。



【作業のコツ】
塗装後のマスキングテープ片は、貼ったときと逆順でていねいにはが
していきます。


【注意点】
マスキングテープ片は、爪や指やはがすと仕上がり塗膜を傷つける可
能性があります。基本的にピンセットでていねいにはがします。




余談ですが、冒頭でのべたように、この作例はマスキング塗装の中級
から上級レベルの内容です。

マスキング塗装をはじめたばかりの人がここまでの作業を実際に行な
った場合、見切りラインがゆがんでいたり、重ね貼りしたところに塗
料がにじんでいたり、マスキングもれがあったりする失敗の連続にな
るのが普通です。

マスキング塗装は失敗もふくめて経験をつむほど上達していきます。
模型作りにおいては、たとえクリティカルな失敗をしても、めげずに
製作をつづける強い気持ちが大切です。




ヒント
塗装後にマスキン
グテープ片をはが
す順番は、貼った
ときの逆順がよ
い。


メモ
「タッチアップ」は色
押さえの意味。色が
はげかけているところ
などに、筆やペンで
同じ色を塗りたして
補修すること。










3回目のマスキングと黒色のエアブラシ塗装

また別のマスキング塗装作業へとすすみます。このブラストアローのボディ
デザインには、センターボディとサイドボディの間に、フォーミュラーカー
らしいエアの通気構造があります。走行中の車体を地面側へ抑える効果があ
るしくみと思料されます。

このエア出入り口周辺の部分を、シルバーとつや消し黒色でマスキング塗装
します。


また、リヤウイングパーツについても、ボディパーツと連結するステー(支
柱)部分をツヤ消し黒色でマスキング塗装します。






  


エア通気口周辺におけるグラデーション塗装
左の画像は、ボディパーツのエア通気口周辺以外のところをすべてマスキン
グでかくし、まずシルバーを下地にエアブラシ塗装してから、ツヤ消し黒色を
エアブラシでグラデーション塗装した状態です。赤青ラインとくらべて、と
くにむずかしいマスキング塗装ではないため、くわしい画像と説明は省略し
ます。


右の画像は、塗料が完全に乾燥した後、マスキングをすべてはがした状態で
す。センターボディとフロントフェンダー、リヤフェンダーが各々独立して
見えるようになり、ボディ構造のメリハリ感がアップしました。


画像では実感できませんが、ツヤあり塗装仕様のボディに、部分的ににツヤ
消しカラーを用いると、よりリアルな印象になり、外観性へ大きな影響をあ
たえます。(一部、著者のこのみでキットの完成見本とはことなる表現にし
てあります。)


なお、このボディパーツにおけるエア通気口周辺のマスキング塗装は、その
塗装面積と位置から、最初のベースカラー(白色)を塗装する前に行なってお
く考えかたもあります。

この作例では、リヤウイングパーツのステーの塗装で同じツヤ消し黒色を塗
装するため、3回目のマスキング塗装で行なうことにしました。



【作業のコツ】
つや消し黒色のグラデーション塗装は、色がとまりやすいので塗りすぎに注
意します。すこしずつようすをみながらグラデーションの塗膜を作ります。
エアブラシのノズルは、各々通気口側(パーツ開口部)にむけて塗装すると、
黒色の塗料ミストの飛散をおさえることができます。


【注意点】
通気口(パーツ開口部)は、ボディパーツの裏側からマスキングテープ片で完
全にフタをしておかないと、塗料ミストがボディパーツ裏側へ付着します。




健康に注意!
エアブラシ塗装は塗
装ブースの前で行な
い、脱臭マスクと塗
装用手袋を着用する
こと。





ヒント
ひとつの模型で複数
色のマスキング塗装
を行なう場合は、作
業の前に、合理的に
進行できる計画をね
っておく。





  


リヤウイングステーのマスキング塗装
リヤウイングパーツのステー(支柱)部分も、ツヤ消し黒色でマスキング塗装
します。左の画像は、マスキングしてからツヤ消し黒色をエアブラシ塗装し
た状態です。右の画像は、マスキングをはがした状態です。



【作業のコツ】
このように塗装パーツが小さい場合(塗装箇所がせまい場合)、エアブラシの
塗料吐出量の設定をしぼって塗装します。塗装吐出量全開で吹くと、塗料を
ムダにするだけでなく、タレなどの原因になります。

ステーの断面をふくむ各面に対して、エアブラシのノズルをなるだけ垂直に
むけて塗装すると、色がつきやすくなります。


【注意点】
マスキングテープ片をはがすときはピンセットを使います。リヤウイングの
垂直パネル部分は、乱暴にはがすとパーツが割れる可能性があるので気をつ
けます。

作業に注意!
雑にマスキングテー
プ片をはがすと、塗
装やパーツを傷める
ことがある。










4回目のマスキングと効果線の筆塗り

いよいよ最後のマスキング塗装です。
リヤウイングとボディパーツ各所にある、スピード感を表現したシルバーの
効果線をマスキング塗装します。

下のキット付属シールの画像のとおり、スクラッチ(ひっかき傷)のような独
特の意匠の効果線です。繊細で複雑な塗装パターンのため、エアブラシでは
なく筆塗りで再現します。




                

                 キット付属のシール。丸でかこんんだ部分が効果線




   


効果線のレイアウトと筆塗り用のマスキング
シルバーの効果線の配置は、画像の黄緑色の矢印でしめしたところです。赤
青ラインとほぼセットになっており、全体のカラーリングにおける視覚的な
情報量をはじめ、デラックス感やスピード感の表現に役だっているようで
す。


筆塗りの際、赤青ラインに色ががぶってしまいそうな部分を、細切りマスキ
ングテープ片でマスキングしておきます。

リヤウイングパーツの垂直パネル外側の青色で塗装したところは、箱絵の完
成見本にしたがい、白色で効果線を筆塗りします。








    


効果線の筆塗り
スクラッチ風の効果線を筆塗りします。
繊細な塗装パターンのため、00番の面相筆を使います。見本となるキットの
箱絵やシールをよく観察し、同じ絵柄模様になるようにていねい描きます。

筆者の場合は、画像のように面相筆を進行方向(右)へかなりねかせて、こま
かい線をすばやく描きこんでいきます。


塗料は製品のビンから塗料皿にうつし、筆塗りしやすいようにシンナーです
こし薄めて使います。

効果線を何箇所か描いているうちに、塗料のシンナー分が揮発して濃度が濃
くなります。そのつど、こまめにシンナーを加えて、つねに筆塗りに適した
希釈率で筆塗りすると、つづけて効果線をうまく描くことができます。



【作業のコツ】
この筆塗りは、模型用エナメル塗料のシルバーと白色を使います。ラッカー
塗料で塗装したボディパーツに、エナメル塗料で筆塗りすれば、もし失敗し
てもエナメル塗料専用シンナーで筆塗りの失敗だけをきれいにふきとること
ができます。

また、筆ムラができないように、1箇所ずつすばやく筆塗りします。

【注意点】
筆塗りの際、指や手に塗料がつかないように気をつけます。塗装中や塗装後
は、塗料やシンナーの臭いが消えるまで、部屋の窓をあけて換気します。




健康に注意!
筆塗りの際、肌に塗
料がつかないように
気をつけること。

塗装後、塗料の臭い
が消えるまで、部屋
の窓をあけて換気す
ること。



ヒント
効果線の筆塗りは、
一定方向へだけ筆先
を動かすようにするとう
まく描ける。





     


筆塗りを終え、マスキングをはがした状態
効果線をすべて筆塗りし、塗膜が完全に乾いた後、マスキングをはがしたと
ころです。

ベースカラーの白1色だったところから、ずいぶんにぎやかになりました。
これで、すべてのマスキング塗装終了です。

【注意点】
模型用エナメル塗料の乾燥は、ラッカー塗料より若干おそいです。筆塗りの
塗膜が完全に乾燥したのを確認してから、マスキングテープ片をピンセット
でていねいにはがします。












ミニ四駆 ブラストアローの完成

パーツにベースカラーの白色を塗装してから4回のマスキング塗装を経て、
ミニ四駆「ブラストアロー」の完成です。ヘッドライト、ウインドゥ、ゼッ
ケン、各種ロゴ、給油口などのシールを貼ると外観がひきしまってみえま
す。


なお、デカールが付属しているカーモデルなら、ボディパーツの最後のほう
の工程でクリヤーコートを行ないますが、この作例ではシールを貼る都合
上、クリヤーコートはしていません。






   

                                 ななめ前からの画像





   

                                  ななめ後ろからの画像





ミニ四駆のマスキング塗装実例、終わり
ややかけ足気味の塗装実例レポートとなりましたが、実際の模型キットにお
けるマスキング塗装作業の流れはこのようなものです。

こまかくて時間のかかる地味な作業のくりかえしです。複数色のカラーリン
グだと、計画性のある進行が必要になってきます。

しかし、手間をかけたぶん、ひとつひとつ完成に近づいていく模型作りの楽
しさをこれほど実感できる作業はそうありません。ぜひ、みなさんも自分が
作りたいキットで、マスキング塗装を実践してください。





               投稿者: K                                    No コメント